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目の前のトランペットが泣いているように見えた。
「…ごめん、なさい」
謝ったけれど、返って来る声はない。
足が震えて、立つことが出来なかった。何度も、何度も立とうとするのに、立ち上がれない。
群衆の声はより一層大きくなる。もはや何を言っているのか聞こえないほどに、人々の声は混ざり合って、大きな空気の波になって僕の耳に押し寄せてきた。
鼓膜が割れるように痛い。思わず耳を塞ごうとした時、ぐいと腕を引っ張られた。
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