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「もういい。下がりなさい」
「…おじい様!」
ひっぱられた腕の痛さよりも、おじい様の冷酷な光を宿した紫の目が、今の僕には何よりも痛かった。
「あとは、この子に任せる」
そこに立っていたのは、おじい様と同じ紫眼の少女。
ああ、僕はもう用済みなのかもしれない。
そう思う一方で、まだ信じていたかった。
僕は天才で、皆とは違う。たくさん努力だってしてきた。人より何倍も努力して、努力して、努力して。
目の前のこいつが吹いたって、どうせ失敗する。
そう思っていたのに。
控室に下げられた後、聞こえた歓声に。
ああ、本当に僕はもう「必要とされない」のだと、絶望した。
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