双子の星ユビキタスとインクルーシブ

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 何日も日照りが続いていた。  気象センターの発表では明日は降水確率99%とあったけれど、その状態が1週間も続いているのだから、残りの1%の7乗の0.000000000001%という天文学的な数字を引き当てたことになる。これが当たりくじならラッキーな話だけど(ただそんなに確率の低いくじをわざわざ引く気にはならないけれども)、この星が生まれて以来前代未聞の水不足に頭を悩ませている気象センターと政府は、この不運のくじ引きを苦々しく思っているようだ。  今までにも一部の区画で7日間連続降雨なしという記録はあった。そのときは特に貯水地域の区画ではなく、問題にはならなかっただけで、以前から調査団はこの星の気象システムに難ありと指摘していたらしい。最初のうちはうまくいっているように思えたけれども、ここ3年ほど天気の偏りがひどくなってきたという調査がある。  7日間の日照りのせいで、貯水槽はもはや空になってしまった。よりによって気象再現のアルゴリズムは地球における熱帯地域の真夏の気温を反映していた。緊急用に貯蓄していた飲料や水分を多く含む非常食は、持ってあと3日ほどだろう。この星の住人の中には、すでに隣の小惑星に避難した者もいる。ただ、この星を文字通り作ってきた草創の世代の者たちは何があってもこの星を離れないなんて言っているらしく、そんな彼彼女らを助けるために行政は手をこまねいていた。
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