最後に残されたものは…。

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 姉の早紀子は就職して5年後に社内恋愛で結婚した。 築20数年の社宅に住むことになったのだが、十和子はそれを見ていて自分は絶対にこんな生活は嫌だと思っていた。 とにかく貧乏は絶対に嫌だった。 女は良い結婚でそれまでの生活ステージをいくらでも上げること、リセットすることができるのだと信じていたのだ。 高校でも成績優秀だった十和子は進学が無理なら優良企業に就職し、金持ちの男を捕まえようと言う野望を持っていた。 十和子は、中堅ゼネコンに就職して、まじめに働いていた。 回りは高学歴の男性社員ばかりで、健気な女子社員を日々演じていたのだ。 そんなある日、社長が、次期社長になる息子を連れて来た。 それがきっかけで社長の息子は、十和子を見染めて猛アタックして来たのだ。 十和子はすぐになびいたりはしなかった。 焦らし焦らしプロポーズされる日を待っていた。
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