可愛い女の子になりたかった

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ずっと好きだった野球部の彼。その彼に「彼女ができた」と紹介されたのだ。それも「親友のお前には一番に言いたくて」のおまけ付きで。 ちゃんと笑って祝福できていただろうか。そこは覚えがない。いつのまにか家のリビングで泣いていて、帰ってきた姉に何があったか問いただされた。 「あの子みたいに高い声と大きい胸が欲しかった」 彼の隣で笑っていた彼女を思い返す。 「可愛い女の子になりたかった」 そうしたら、告白もできたのに。 溢れる涙のまま呟くと、姉は黙って部屋を出ていき大量のメイク道具と共に戻ってきた。そしてきっぱりと告げてくれたのだ。 「胸と声は今すぐには無理でも、可愛い女の子にはなれる」
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