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真郷が半年に一度、九州へ出張に行く。九州地方全県と、福岡に泊まっている時には山口県にも行くと言っていた。
「毎日電話する」
「うん」
「それでもいつも俺が寂しい」
「私もだよ…寂しいよね…でもお仕事頑張ってる真郷も好き」
「俺も由奈が仕事してるの好きだ…こうしてベッドの由奈もな…もう一度いいか?」
明け方まで愛し合ったあと、真郷が1ヵ月の予定で東京を離れたその日、湯川不動産へ出勤した私を待っていたかのように小嶋さんと会った。
「雨宮さん、狭間さんと別れていないの?昨日の帰りに二人でいるところを見たんだけど」
「はい、別れていません」
「他の人と結婚する男性と付き合っているなんておかしいでしょ?」
「彼がそれを否定したので、私は彼を信じるだけです」
「人が親切にトラブルにならないようにと言ってあげているのに…会社で狭間さんの立場がなくなってもいいの?」
「彼なら会社を出てもステップアップ出来ると教えてくださったのは小嶋さんです」
私のこの言葉が彼女を苛立たせてしまった。
「出て行くのはあなたよ」
そう言って踵を返した彼女は昼休み、昼食のスープにプラスチック片が入っているとクレームを付けてきた。
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