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「…小嶋さん…明日明後日という風にはいかないと思いますが…私はここを辞めるので会社に迷惑がかかるような行為は止めてください…お願いします」
「やっとわかってもらえたようね。わかってもらえればいいのよ。あっ、電話とかも気をつけた方がいいわよ?浮気の証拠になりかねないから、うふふふふ…」
ようやく小嶋さんから解放されたと思うと同時に、真郷のことと会社のことを考える。
私は愛する真郷にも大好きな会社にも絶対に迷惑は掛けない。
翌日の食堂利用者がいつもより少ないことで会社へすでに迷惑を掛けたと思い、社長に辞めると伝える。社員思いの社長は慰留して下さったけれど、心が零点に達していない私はそれに応えることが出来なかった。
退職届を出した週末には、何もかもから逃げるように、母にすすめられるまま友人の息子さんとお見合いをして数日後には承諾した。
真郷の電話へ履歴が残るのも良くないと思いながらも、最後にもう一度声が聞きたいと思い…もう一度だけ…もう一度だけと毎晩彼と話をしてしまう。
この部屋を引き払い、電話を解約して実家へ戻ってから、私は真郷以外の人と結婚をする。
幸せになってね、真郷。
こうして私は全てを処分し、真郷が知らない山梨の実家へと戻った。
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