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ゆるさなくていい。
許さなくていい。
大嫌いな芸能人。
納得いかない政治家。
横暴な上司。
無能な部下。
マナーの悪い客。
空気の読めない親戚。
自分勝手な毒親。
貴方の大切な人を奪った犯人。
許した方が楽になれると言う人がいるけれど、簡単に許せるようなら誰も苦労しちゃいない。
許せ、の一言で許せないからみんな苦しんでいる。
だから許さなくていい。
許せないことは、みんなそれぞれ違っていい。
ただ、その間違えてはいけないことがある。
納得がいかない政治をするその人が嫌いだからって、その人が悩んでいる病気を嘲笑うのが正義か?
推していたタレントと結婚したからって、その妻となった女優の容姿や宗教を叩くのが正義か?
戦争を引き起こした国の人だからって、日本でお店を開いている人達に石を投げるのが正義か?
自分の宗教を揶揄したからといって、その本を書いた人を殺して黙らせるのが正義か?
誰かに与えた痛みはいつか自分に返る。
貴方は、同じように誰かに撃たれる覚悟はあるのか。
そして貴方がしたことで、貴方が愛する人が撃たれる覚悟は。
貴方が貴方の正義を信じるならば、どうか手段を選ぶ勇気を。
批判と攻撃を間違えない理性を。
日本は今、戦争なんかしていない。どんな主張があろうと、人を殺した者が英雄になることはない。人の心を踏み躙った者も。
許せなくていい。
許せない気持ちを捨てなくていい。
それでも私は願わくば、誰かを叩く言葉より愛する言葉を聴きたい。
出来る限りでいい。嫌いなものを語るより、好きなものを語ることを選んでほしい。
貴方の愛する人が、芸能人が、政治家が、会社の仲間が、出会った客が、支えてくれた家族が、応援してくれた友人が。
どれほど素晴らしく、魅力的で、応援するに値するかを教えておくれ。
人を最後に動かすのはきっと、殴る手よりも抱きしめる手だ。
いつかそれが世界を変えると、一人の人間として信じたい。
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