プロローグ

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そして、涼は目を覚した。だが様子が少しおかしかった。母親の顔を見ても、初めて会う人を見るような目だった。もしかしたら…記憶喪失…。 しかし、数分も経つと、急に思い出したかのようにママ、ここはどこ?って聞いてきたのだ。だが、事情を説明しても過去の記憶も、従姉妹が誰かも分からない状態だった。病室に従姉妹達と父親が入って来た時も、母親の時と同じで、まるで初めて会う様な感じだった。それも、数分経てばみんなの記憶が蘇った。 先生は、少し特殊な記憶喪失かも知れないと言った。一時的に今まで関わってきた人達の、記憶が飛んでるのだと。それも、本人達に会ったり、写真を見たり、とにかく本人の目に入れば、記憶が戻るのかも知れないと先生は言った。母親は幼稚園の友達の名前や話を聞かせたが、やはり記憶は無いようだった。祖父母の家に帰り、祖父母を見た瞬間はやはり初対面のようだったが、次第に記憶を取り戻し、普段通りに戻った。 翌日、経過観察として、病院へ来るように言われていたので、母親と涼は病院へ行った。
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