最終話

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「まさかこんな所で、そのヘアゴムが役に立つなんてね。取って置いて良かったよ。舞ちゃんが引っ越してからは、毎日の様にそのゴムを持ち歩いてたんだよ。それはまるで宝物の様に。でもあの事があってからは全くヘアゴムには見向きもしなくなってね。母さんも捨てるに捨てれずにいて、仕方なく幼稚園バッグに入れてしまっておいたんだよ。でも良かった!元々母さんは、物を捨てれない人だからねぇ」 とにかく、母親がこのヘアゴムを捨てずに取って置いてくれて良かった。俺は、舞にLINEを送る事にした。 『舞が落として行った手帳、俺が持ってるから、バイト終わったらいつもの公園に!その頃、手帳持って行くから!舞のおっちょこちょい!』そう送って時間まで待つことにした。 そろそろ時間が近づいて来たので、涼は出掛ける準備をした。出掛けに母親に言った。 「じゃあ、ちょっと行ってくるよ!」 「気をつけて行くんだよ!」 「うん!それじゃあ」 「あっ!涼!」母親は涼を呼び止め言った。 「本当に良かったね!舞ちゃんもきっと喜ぶよ!」 母親はそう言って、涼を送り出した。
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