3人が本棚に入れています
本棚に追加
ぴったりはりついて離れなくなった私に、ヨータが機嫌のよさそうな照れ笑いをもらした。
「へへへ。わかった。ありがとう」
脇腹のあたりに遠慮がちに添えられていたヨータの手が、安心したように背中にまわる。
そしてそのまま、ヨータはすとんと私を後ろに押し倒した。
「うわ」
思わず床についた左手にカツンと走った硬い衝撃。
それとともに薬指の拘束がフッと解ける。
「……っあーーーー!!!」
真っ二つに割れた指輪が、右と左にわかれて床に転がった。
「うそ、どうしよう……ッッ」
慌てふためく私をがっちりと組み敷いたまま、ヨータがチラッと指輪に視線を投げる。
「いーよ、大丈夫。また作るから」
「ええ、ヤだ! 私これがいい。ボンドでくっつけて修理する!」
しかし、かけらを拾おうと伸ばした手はすぐさまヨータに捕まって、しっかり床へと縫い付けられた。
「いいって。そんなの後にして。それよりーーー」
最初のコメントを投稿しよう!