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バッド・エンドロール
ドンドンドン、ドン!!
「コウ!! コウ!!」
けたたましく部屋の扉を殴る母の声で、壱外コウは薄っすらと目を開けた。
「コウ!! ……入るわよ?!」
「なんだよ……朝から……」
てか入ってくんなし。
卒業式の翌日。眠気を帯びたぶっきらぼうな言葉も気に掛けることなく、部屋に入ってきた母はコウをひし、と抱きしめた。
「は?! なにして——」
「コウ、落ち着いて、聞いてほしいの」
そう告げる母の声はいつになく真面目で、そしてほんの少しだけ震えている。そして首筋に冷たいものが触れて、それが何であるのか考えている間に。
「レイくんが、糸衣レイくんが」
母の口から零れだす言葉。
「……レイがどうしたんだよ」
「亡くなった、らしいの」
「……は?」
告げられた内容に思考が止まるとともに、コウは冷たいソレが母の涙であることを理解した。
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