二日目・部活動

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「よう、昨日ぶりだな」 「……何の用ですか、先輩」 「お前に話を聞きたくてな。――東柳」  ホームルームが終わってすぐ。コウがその足で向かったのは、体育館。  自分自身が所属していたこともあり、難なく入り込めるその場所。コウが訪れたのは、ソウタがバスケ部だったことを思い出したからである。 「お、先輩ちーす。って東柳に何か用スか?」  顔見知りの二年生がコウに気がついたらしい。一年のソウタと並び立つ三年に不思議そうな顔をするものの。 「まあな、ちょっと借りていいか?」 「まダイジョブっしょ。どぞどそ」  二つ返事で貸し出してくれたのは、やはり先輩として仲を深めていたからだろう。外へとソウタを連れ出す。 「レイ先輩と仲が良かったのはチヒロなんで、オレはあんまり知りませんよ」 「だろうな。でもお前なら――お前の異能力を使えば、知る事ができる」 「ッ!!」  がっ、と胸倉を掴みあげるソウタ。それに動揺する様子を見せることなく、コウは続ける。 「他言はしないと誓う。代わりにチカラを貸してくれ」  寧ろその何故、どうして、と混乱の渦にある思考へと畳み掛けるように。 「親友の、生死に関わることなんだ」 「……何を、知りたいんですか」  心眼の異能力。それは自身の問いかけに対して相手が心に思い浮かべたことを、視覚的に知ることのできる異能。 「山南川がレイについて知っていることを」  真っ直ぐと目を見続けるコウに、はあ、と息を吐くソウタ。そしてゆっくりと掴んでいた胸の辺りの衣服を離すと。 「期待は、しないでください」  ただポツリとそう零した。そしてそのまま、体育館へと戻ろうとするソウタの背中を見送りながら。 「分かってる。ダメ元でも頼りたいんだよ……」  誰に向けるわけでもない言葉を、コウは一人呟いていた。
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