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 真っ暗になっちゃう。一体何をするの優くん? 打ち鳴らし続けるドラムロールのように、私の胸が高鳴る。ドッドッドッという鼓動が、私の胸から首筋を伝い耳に届く。いつの間にか、虫たちの音も止んでいた。  ランタンの明かりが光の粉となり、夜空に消えていった。一切の明かりが無くなり闇にしか見えなかった周囲が、目が慣れるにつれ明るさを増していく。そこに現れた景色。私と優くんを包み込む世界が、見開いた私の湿った瞳に映った。  ──宇宙。  数多の光の粒たちが、(まだら)に散りばめられている。光の大きな子は、赤や青にチロチロと身体を揺らしている。身体を寄せ合う小さな子たちは、光のベールを重ね合い、まるで水彩絵の具を滲ませたように漂っている。それらがどこまでも縦に繋がり、ゆっくりと流れるように、そこにあった。  ──天の川。  どれだけ見上げても、何処までも続いている。瞬きを繰り返す、奥行きのある光の粒は、空ごと落ちてきそうなほど迫力があった。  そんな星空が、足元より下にも存在した。私が見えている視界の全てが、どこまでも広がる星空に満たされている。立っている感覚はあるのに、まるで宇宙空間に投げ出されているような錯覚を覚えた。 「優くん、少し怖い」
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