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「5年前、僕は高校3年生だったのですが、そこの神社の裏で段ボール箱の中にいる白い子猫を見つけました。
僕の母は動物が嫌いで家に持ち帰って飼うことが難しかったので、僕が毎日ミルクと食べ物を与えていました。」
僕が話すとその女性が、
「あぁ、そうだったんですか?
それはありがとうございました。
失礼ですが、お名前は?」
と聞かれたので僕は、
「星夜です。
星の夜と書きます。」
と答えた。
「私は沙月です。」
とその女性は名乗って、
「星夜さん…
良い名前ですね!」
と僕の名前を褒めてくれた。
僕は沙月さんと初めて出会った5年前の花火大会の夜での出来事が蘇ってきた。
30分ほどすると花火はクライマックスを迎えて、打ち上げは終了した。
沙月さんと僕は花火が終わっても話を続けていて、いろいろ話を聞くと沙月さんは僕より3歳年下で僕の自宅から比較的近いようだった。
沙月さんとの話はとても楽しくて僕はまた沙月さんに会いたいと思って、思い切って沙月さんにまた会いましょうと言おうとしたら沙月さんから、
「また星夜さんと会いたい…
きっと会えるよね!」
と言われたので僕は、
「はい、僕もまた会いたいです。」
と返事をした。
沙月さんとはまた会う約束をして、この日はお互いの家に帰ることにした。
沙月さんは僕にバイバイと手を振って歩き始めたので、僕も手を振って自宅に向かって歩き始めた。
沙月さんの後姿を見送っていると、沙月さんの足元を歩いていた子猫が振り返って僕の方を見て、
「ミャー」
と鳴いた。
きっとこの白い子猫が、僕のもとに沙月さんを連れて来てくれたのだろうと考えることにした。
僕はこの出会いを大切にしようと、きれいに光り輝く星に向かって誓った。
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