夏の夜の花火

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「私は『沙月(さつき)』です。」 とその女性は名乗って、 「星夜さん…  良い名前ですね!」 と僕の名前を褒めてくれた。 僕はベンチに座り直して、 「どこの学校?」 と質問すると沙月さんから、 「学校には行っていません!」 という答えが返ってきた。 さらに僕が、 「家は近いですか?」 と聞くと沙月さんは、 「家はありません!」 という不思議な答えが返ってきた。 僕は何を話したらいいのかわからなくなって少し沈黙すると沙月さんが、 「星夜さん、ありがとう!  私のことを助けてくれて…」 と僕の顔をまっすぐに見て優しい口調で感謝の言葉をかけてくれた。 僕は沙月さんと会うのは初めてだと思っていたので、感謝される覚えはないと考えていた。
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