夏の夜の花火

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「自転車で街に出ませんか?  かき氷がおいしいお店があるんですよ!」 僕が声をかけると沙月さんが、 「私、お金持ってないんですよ!」 と申し訳なさそうに言うので僕が、 「大丈夫ですよ!  僕がおごりますよ!」 と言うと、沙月さんの顔は笑顔になった。 僕は自転車の後ろに沙月さんを乗せて、山を下って街中に入った。 僕が高校の帰り道に時々立ち寄る駄菓子屋さんに行って、かき氷を2つ注文した。 沙月さんはイチゴのかき氷、僕はメロンのかき氷を食べた。 夏の日差しが強くて蒸し暑い今日は、かき氷がとてもおいしかった。 その後ショッピングモールに行って、雑貨屋さんやアニメショップなどを見て回った。 僕は今まで女性と2人でこのようなお付き合いをしたことがなかったので少し緊張していたけれど、沙月さんの屈託のない笑顔が僕の緊張感を和らげてくれた。 夕刻になってそろそろ帰ろうとしたときに僕が沙月さんに家まで自転車で送ると言うと、沙月さんは待ち合わせした公園まででいいと言ったので僕は公園まで沙月さんを送った。 別れ際、沙月さんは楽しそうに、 「また明日も会おうよ!」 と言ってきたので僕は、 「いいよ」 と答えた。 僕は毎日沙月さんと会って楽しい時間を過ごすことができて、僕は沙月さんのことが好きだという感情を抱き始めていることに気が付いた。
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