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「……概念武装の刀、白髪、少年。私は、この少年が執行指定人物と踏んで、こうして密告を…」
王都、その最奥部。
そこに佇む王城にて、黄髪の青年は謁見している最中だった。
「特徴を聞いている限りは、そのようだな。……が、疑わしきは罰せよ。魔王軍戦争において、この人類が不利になるかもしれぬ要素は排除しておかなくてはならぬ」
暗闇の中に、蝋燭の灯った柱が、王座を照らし爛々と輝いている。
…その灯りの下にて、現・人界王、ユダレイ・タッカーダル四世の威厳ある声が響き渡る。
その青年は、密告していた。
今日…その昼に出会った少年…白のことを。
「報酬金の件ですが……」
「もちろん既に用意してある。しかと受け取るが良い」
…別に個人的な恨みはないんだ。
ただただ、そうすればレメルがもらえるから密告した、ただそれだけのことさ。
ごめんよ白くん。明日から君は追われる身になるけれども。
「……健闘を、祈るよ」
月明かりのみが照らす王都の帰路にて、青年はただ1人、にやけながら呟いた。
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