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決意
「行ってきます」
「死ぬんじゃ、ないぞ」
それが自らを育ててくれた老人、ジャンおじさんとの最後の会話となる筈だった。
そうなってくれたらどんなに良かった事か。
朝。ドアを勢いよく叩く音で目を覚ました。
「白さーん。しーろーさーん。お客さんが来てますよー」
宿主の…声だ。
「はいー。今出まーす」
朝だからろくに思考もまとまらないまま、ドアを開ける。
ドアを開けた先には鎧を着て武装した兵士三人と、何やら偉そうで何か言いたげな女騎士、そしてさっき俺を叩き起こしてくれた宿主さんの姿があった。
「ふぇ? 一体なんなんれすかこんな朝から…」
ダメだ。呂律がちっとも回らない。
その様に問うた後、やたらめったら偉そうな女騎士が、
「我らに着いてこい。人界王ユダレイ・タッカーダル様がお呼びだ」
………と一言。
…なんですと?
「…なんですと??」
そのまま言われるがまま支度をし、朝ごはんも食べないまま兵士に槍を向けられ王城まで歩かされた。一体俺が何をしたというのだろうか。
…もしかして、例の巨大ゴブリンを倒した報酬とか…?
などと勝手に期待しながら城内に入ると、すぐさま五人の兵士が追加で槍を向けてきた。
…どうして?
困惑しながらも、そのまま人界王との謁見の時間に入ってしまった。
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