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初陣
…そういえば、適正役職を聞いていなかったが、適正属性が回復魔術だと書かれていたから、どうせろくな役職を勧められないなどと考え、ジョブセンターに戻る事はやめにした。
実際のところ、魔術が使えなくとも自分には充分な剣術が備わっているので魔術は扱えなくてもよかったのだが、それでも使ってみたいっていう男のロマンがありましてですね…
…そんな事よりも、まずは生計を立てる事を考えなくては。
まだ一回しか食べた事がないけど、モンスターの肉(スライムは食べられないが)を食べて生き延びるっておじさんは言ってたな…
ひとまず今日はおじさんからもらった人間界の通貨……レメルを使えば宿に泊まれるけど…明日からは街に張り出されてる依頼を受けてレメルを稼がないと宿にも泊まれない…
勇者って意外と大変なんだなと思いつつも、依頼が張り出されている掲示板に足を進めた。
◎薬草を採ってきて!
◎ゴブリンの群れを倒して!
◎実験台になってください
掲示板には、ありきたりな依頼からあからさまに怪しいものまで、ざっと見た感じだと五十枚以上の紙が貼られていた。
時計を見ると丁度昼頃だったので、(昼飯用の)ゴブリンの群れを倒す依頼を受ける事にした。
…まあ、今から受ける時点で、昼飯用にはできないのだが。
———王都から西に約1キロ、かつては農業で栄えていた(と聞いている)町、スライド。依頼主は開拓班の人たちだった。
ゴブリンの数はおよそ300。他の勇者との合同で討伐が行われる。
他の勇者はほとんどが魔術を扱う杖だの回復用ポーションだのを持ってきているが、勿論こちらはほぼ無一文状態。魔術も使えない俺の武器は、もちろん刀だ。
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