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「日ノ國」伝統の武器、刀。
王都製の剣とは違い、滑らかな曲線を描く様な刀身が特徴の武器だ。
…まぁ、いつもは、って言うか今この刀には「不殺」の概念が付与されていてただの木刀に過ぎないのだが。
それでも、ゴブリンの数はたったの300。
「アイツら」に比べたらどうって事は無い。
「あ、ちょっと君、カード見せてー」
俺より少し年上で、黄色の髪をし、その身に動きやすそうなデザインの、白銀に輝く鎧を身に纏ったお兄さん……が近寄って来る。グイグイ来られるのは苦手だが…
「…白くん、ねえ……やっぱり。装備も付けてないと思ったら新人じゃないか? 初めての戦場がこんな所で大丈夫かい?」
「あ、はい。大丈夫です。刀の扱いには、自信があるので」
「刀…刀か…中々お目にかかれない武器だなぁ…いくら木刀とは言え…ん?…まさかコレ…概念法術が…」
「あ、あんまりジロジロ見ないでくださいっ」
あまり人に見せるものでもないので、つい刀を取り上げてしまった。
「あっ…すいません…急に取り上げてしまって」
「い、いいよいいよ、大丈夫。それよりも…」
そう言うとお兄さんは森の方角を指差す。
「見えた。ゴブリンの群れだ。ここ数日間、開拓班が餌付けしてくれたおかげで、今日もここに来てくれた」
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