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「それはまた」と次郎は安心して笑ってしまった。
しばらくして結納を済ませたのであった。
「これで決まったね」
「また今度は本当に夫婦になるぞ」
次郎はそば屋の仕事をしていたのだが、きくは仕事をどうするのだろうか、と彼は考えていた。
興奮しているという自覚は次郎にはあった。
彼の巡り合って恋した娘のきくと婚約した。もうじき夫婦になることになった。きくはおお汁粉屋をやめてそば屋に入った。
「そば屋はお汁粉屋とは違うのだよ」などときくに向かって言う女はいたが次郎がにらむとやめた。
「やくざは自分じゃないのかね」とその女は言っていたような気がしたが誰のことを言っていたのか次郎にはわからなかった。
なんとなく次郎を否定したというか悪口のようなことだとは鈍感な次郎にもわかったが知らん顔を彼はしていた。
「次郎さんは頼りになるのね」ときくは気分よさそうだった。
「夫婦になろうか」と次郎はきくに向かって言った。
いきなり頭を後ろから殴られて次郎は倒れたが、後ろを振り向く余裕はなかった。
「痛い」とかろうじて声を出すことはできた。
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