1人が本棚に入れています
本棚に追加
◎最初で最後の女
僕は女性との関係を拒否しない時期があった。
証券会社勤めのイイ女と恋仲になっている時も(どうやって知り合ったかは忘れました)その付き合ってる最中に友人に誘われて行ってみたプールのインストラクターの女性に言い寄られてそのまま関係を持ちつつ、沖縄から上京してきた沖縄そば屋兼居酒屋でバイトする子に好かれてはデートになりそのまま寝た。
その頃の僕はイマイチはっきりせず、自分を好いてくれる人を振るということが出来ないでいた。
かつて二日間だけ付き合っていた最高にイイ女がいたのだが。どこか気持ちは常にその女にあり他の誰にも本気になれずにいて、だから探していたんだと思う。その思い出を超えてくれる女性を。
もちろん複数人と付き合うことは大変で、いつも誰も傷付けないように色々な嘘を重ねていった。
お金も凄く減った。そういうのは経験して初めて気付くことだ。いや、こんな不義理な人間となる経験はしないまま死んだ方がいいに決まっていたが。
僕は日常をブログに上げるのが趣味で、一回のブログアップで300〜1000アクセスくらい来る程のなかなかの人気ユーザーだった(自分で人気とか言うのは恥ずかしいが)
足跡というのが僕の当時愛用していたSNSには残るのだが、要するに閲覧履歴だ。誰が見たかの閲覧履歴が足跡として残り確認出来るのがそのSNSブログの特徴であった。そんな中、なんとなく履歴を開いたら僕のブログを頻繁に読みにくるユーザーの足跡が今日も残っていた。時間は今さっきと記録されていた。
僕はその子のホームへ飛んでみた。なんとなくだ。特に意味はない。すると丁度ひとこと呟いたところで。
池袋ケンタッキーなう
とだけあった。僕はブログには書いてないことだが、そのケンタッキービルの7階に入っている雀荘で働いていてあと10分で仕事が終わる所だ。そこに偶然この人が来ている。
ちょっとそこであと10分まってて。とだけ送った。
すぐそこにいるならお茶でもして、いつも読んでくれてありがとうと伝えたかった。本当に他意はない。
仕事は少し遅くなり待ち合わせに使うケンタッキーが閉まるので外で待ってもらった。
10分遅れて到着。彼女の第一声は
おせえよ!だった。
SNSの写真からはわからなかったが、身長は145センチ程度とかなり小さい。顔はジュディマリのYUKI似で茶髪の内巻き。赤がベースのタータンチェックのコートを着ていた。そんな可愛い存在が。おせえよ!と言ってきたら逆に愛しい。
僕は恋に落ちた。
あの、付き合って下さい!
反射的に言ってた。なーにが付き合ってだよおまえ絶賛三股かけてるときによく言えたね。コイツはなにも考えてない。
彼女は困惑しつつも、とりあえず遊ぼ!となった。
そのあとは飲んで朝までカラオケして。次の日も僕から誘って上野で散歩して。その次の日は新宿で飲んで。その時初めて彼女の手を握った。新宿は人多いから手握ろうと言って強引に。
そして居酒屋に入ってようやく。僕らは付き合うことになった。
僕は彼女とその夜は結ばれた。そうして、朝が来る。
僕のケータイにはメールや履歴がたくさんあった。彼女以外に3人付き合っているのだから当たり前だ。この三日間だれも相手してなかった。その3人に僕は順番に会いに行ってビンタされたり泣かせたり最後にキスして別れたり。どの子を振る時も胸が痛くて泣きそうだった。僕が泣く資格はないから耐えたけど。本当にひどいことしたと思う。
すまない、初めてなんだ。僕の方から付き合ってくださいと懇願したのは。
気付けば二日間だけ付き合ってた女のことも全然思い出さなくなってた。
僕らは毎日デートして毎日電話して
月々の電話使用料が2人合わせて8万を超えたので、部屋を借りて一緒に住みましょう。となった。家賃の方が安いから。
そんな流れで
ねえ、結婚しようよ。と言われ、初めて思い出したことがあった。僕は既婚者だった。
2年半くらい前にアルバイトのアジア人女性と仲良くなって。何回目かのデートで結婚しようと言われ。いいよ。と二つ返事で籍を入れた。最初は良かった妻との生活も、段々すれ違いが多くなっていき同じ部屋に住みながらも生活リズムは真逆でいつの間にか自然消滅してた。今思えば、妻はビザの問題で僕を利用してたのかも知れなかった。そこに恋愛感情は確かにあったが、それ以外にも目的があったんだろうとあとで気付いた。
その妻と、そういえば離婚してない。
もう、会ってなかったし。自分が今後結婚するなんて少しも思ってなかったので離婚しとかなきゃとか全然思わなかった。
あちゃあ、これはまいった。
次の日、ずっと会ってなかった妻に連絡して事情を話して離婚してもらった。妻にも今付き合っている男性がいて丁度いいタイミングだった。簡単に済んで良かった。
僕らはそうやって結婚して、信じてもらえるか分からないが僕はその後は不倫も浮気も一切せず。
娘も2人生まれて
今も家族4人幸せに暮らしている。
この人が僕の方から初めて選んだ、最初の女。
最初で最後の女。
了
最初のコメントを投稿しよう!