79 日本刀の構え方 「五行の構え」

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79 日本刀の構え方 「五行の構え」

(by 名古屋刀剣博物館 名古屋刀剣ワールド 刀剣の豆知識「日本刀の持ち方と構え方」)  日本刀の構え方 「五行の構え」を徹底解説  五行の構えとは  日本刀における「五行の構え」は、 ①「中段の構え」(ちゅうだんのかまえ)、 ②「上段の構え」(じょうだんのかまえ)、 ③「下段の構え」(げだんのかまえ)、 ④「八相/八双の構え」(はっそうのかまえ)、 ⑤「脇構え」(わきがまえ)  という5種類ある構え方の総称です。  これらは戦国時代に考案された、武士が甲冑(鎧兜)を着用して真剣を用いる剣術「介者剣法」(かいしゃけんぽう:別称[介者剣術])の名残だと言われており、現代において五行の構えは、剣道や「なぎなた」の競技にも使用されています。 ①「中段の構え」(ちゅうだんのかまえ)(水の構え、正眼/青眼[せいがん]の構え)  構え方  正中線(せいちゅうせん:体の前面中央を頭から真っ直ぐ縦に通る線)に沿うように、体の真正面に刀を構える。  このとき、左手は丹田(たんでん:おへその少し下)に来るようして、鋒/切先は相手の喉元の高さに向ける。  メリット  甲冑(鎧兜)を着ていても構えやすく、他の構えにもスムーズに移行できる。  デメリット  前面に一定のスペースが必要なため、障害物が多くある場所や、乱戦になった場合などは、構えたまま振り向くとぶつかってしまう危険性がある。 ②「上段の構え」(じょうだんのかまえ)  構え方  刀を頭上に振りかぶった状態で構え、左手はおでこから拳1個分ぐらい空けたところに置く。  メリット  そのまま振り下ろす動作だけで相手を切れるため、最速で攻撃することが可能。また、刀の長さ(リーチ)を最も活かせる構えだとも言える。  デメリット  攻撃的な構えではあるが、構えている間は首から下が空く状態になるため、防御には向いていない。 ③「下段の構え」(げだんのかまえ)(土の構え、地の構え)  構え方  刀の鋒/切先を水平より少し下げた低い位置(目安は相手の足元)に付ける。  メリット  中段や上段の構えに比べると、体力の消耗が抑えられる。また、スペースを省けるため、素早く振り向くことが可能。  デメリット  上半身に対する防御力が低い。また、機敏に動くことが難しいため、攻撃にはあまり向かない。 ④「八相/八双の構え」(はっそうのかまえ)(木の構え、陰の構え)  構え方  左足を前に出し、刀を右側に寄せる。このとき、右手は右のこめかみの辺りから拳1個分ほど空けたところに置く。  刀身は垂直に立てて刃は相手のほうに向け、鍔が口元辺りに来るようにする。  上段の構えを変形させた構え方だと推測されており、装飾が施された兜の着用時など、刀を振りかぶることが難しい場合に用いられる。  メリット  前腕を「八」の字に構えることで腕への負担が軽減され、体力の消耗が抑えられる。また、全方向の敵に素早く対応することが可能。  デメリット  構えていないほうの半身がガラ空きになる。 ⑤「脇構え」(わきがまえ)(金の構え、陽の構え)  構え方  右足を引いて体を右斜めに向け、刀を右脇に取り、鋒/切先を後ろに隠すように下げて構える。刀は地面と水平にして柄を腰骨辺りに置く。  メリット  後ろから奇襲を受けた場合でも刀身をそのままにして、体のみで振り返るようにすることで、即座に下段の構えへ移行するなどして対応できる。  手裏剣などの隠し武器を取り出すときにも、相手に発見されづらくなる。  デメリット  左半身に隙が生じて無防備になるため、相手の攻撃を誘いやすくなる。
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