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久しぶりに
『順調に仕事が片付いたので、予定より早くそちらに行けそうです』
「やった!ではレンタカーを借りておきますね。宿は、私が行ったことがある温泉にしておきました」
『僕は熊本は詳しくないので、よろしくお願いします』
私も用事を済ませて、駅前でレンタカーを借りた。
市電が走っている駅前は、信号がややこしい。少し離れた駐車場に車を入れて、改札の前で待つことにした。
『あと5分ほどで到着予定です』
「はい」
ドキドキする。
ワクワクする。
一言目はなんて言おうか?どんな話をしようか?
その前に、メイクが崩れてないかな?
髪型は?手鏡で確認する。
あー、足が地面に着いていないような感覚までしてきた。
電車の案内板の表示が変わり、榊原さんが乗ってる電車が到着したことを知らせた。
階段を降りてくる人の波の中に…
「あ、いた!」
思わず声に出てしまう。
「お待たせしました」
「いえ、あの、お久しぶりです」
「そうですね、随分、会えませんでしたからね」
「車はこっちです」
「行きましょうか」
榊原さんがいるだけで、見慣れたこの景色が違って見える。並んで歩く私は、やっぱりまだ足が地面から浮いているようだ。年甲斐もなく、こんなに浮かれてしまう。
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