秘密のデート

ワインの会

柚子のカクテルや、地元の焼酎を続けて飲んでいく。

「やはり、最初に赤ワインにして正解でしたね」
「そうですね、柚子カクテルは味の主張が強いので、ワインの味がわからなくなりそうですから」

お互いの仕事の話が少しと、榊原さんの海外での体験話、趣味の話…話題が尽きることはない。

「どうして猫アレルギーがあるのに、猫好きなのか、僕には理解できませんが」
「好きなものは好きなんですよ、そういうことってありませんか？」

よくあるそんな会話。

「1から始めることは、わりと簡単なんです。0から1を生み出すことが僕の仕事ですから」
「そのセリフ、ありがたく小説のタイトルにいただきましたよ」
「僕のセリフが小説のネタになるなんて、光栄ですね。こんな僕でも役に立つことがあるんですね」

あれこれネタにさせてもらってますけど。

せっかくだからと、もう一度温泉に入ってまったりすることにした。
隣の部屋に二組並べられた布団を見て、少しだけドキドキする。