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「あったあ!」 捜し始めて5分程で、少女の笑顔が見られた。 パックを落とさないように白いワンピースの胸に入れて両手で抑えながら、ラミの方に駆けてきた。 「お姉ちゃん、あったよ、あったよ」 少女は、ほらっ、と元気よくラミに渡し 「ふーっ、よかった、よかったあ」 とおおげさに肩を上げて、一呼吸おいて、ため息とともに、肩を下げた。 多分家族の誰かの仕草がうつってしまっているのだろう。 「よかったねえ、ほんとに」 「もうちょっとでムシにたべられるとこだった」 「えっ、そうだったの?」 「そんなことないよー。うっそー」 「うっそーなんだ、なんなんだ、かわいいったらありゃしない」 「じゃ、ちゃんとビニール袋にいれとこうね」 ラミは、行こっ、と少女と手を繋いだ。 少女の鼓動が微かに伝わってきた。
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