3人が本棚に入れています
本棚に追加
突然
「あっ、あそこ!」
耳を前に出すと、少女は、荷物をほったらかして、駆けだした。
ラミは広場の人たちの視線が気になりながらも、荷物を両腕にかかえたまま息を切らせてなんとか追いついた。
しゃがみこんだ少女の肩越しに、小さい両手に大事そうに包まれた四つ葉のクローバーが見えた。
「四つ葉のクローバーなの?」
「うん、そうだよ」
「あそこも!」
少女はラミの目の前で跳ねて、しゃがんだ。
また両手に包まれて四葉のクローバーがいる。
「わかるの?」
「うん」
――見えるのではなくて、分かるらしい。瞳の中の海のせいなのだろうか?
なぜか違和感がわかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!