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突然 「あっ、あそこ!」 耳を前に出すと、少女は、荷物をほったらかして、駆けだした。 ラミは広場の人たちの視線が気になりながらも、荷物を両腕にかかえたまま息を切らせてなんとか追いついた。 しゃがみこんだ少女の肩越しに、小さい両手に大事そうに包まれた四つ葉のクローバーが見えた。 「四つ葉のクローバーなの?」 「うん、そうだよ」 「あそこも!」 少女はラミの目の前で跳ねて、しゃがんだ。 また両手に包まれて四葉のクローバーがいる。 「わかるの?」 「うん」 ――見えるのではなくて、分かるらしい。瞳の中の海のせいなのだろうか? なぜか違和感がわかなかった。
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