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一瞬、頬に触れたと思ったらその部分から、スウィートティーのよう香りが体に染みていくと
やや眠気のようなものにおそわれ、そのぼやけゆく意識の中で少女の声だけが遠くから響いてくるのだった。
「お姉ちゃんのオーラみたいな服、冬なんだね」
「見えるの?」
「うん、すっかり、みんな」
少女の瞳の海がゆっくり渦を巻きはじめた。
「ラミちゃんでしょ」
「名前わかるの?」
「うん」
「お姉ちゃんの髪、水色のハートかわいい」
ラミは従順に少女に引き込まれていった。
少女はラミの肩に手を置いて、ぺたんとすわらせて
ラミのハートを人差し指でくるりとした。
「くすぐったい。指、凍っちゃうよ」
「うん、しってるよ」
「ゆびさき、ちょっと凍っちゃった」
「ええ、ほんと?」
ラミは慌てて目の前の指を握った。
「うっそー」
「なんだ、なんなんだ」
「ハート、色、変わるんでしょ」
「うん、気持ちでね」
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