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少女は顔を曇らせて言った 「この制服のお姉ちゃん寂しそう」 「ああ、高校の時んかな?」 すると少女はラミの髪のハートに人差し指を入れて、中でちょんとした。 ラミは少女がシャボン玉をはじいたとわかった。 「そうなんだ、そういうことなんだあ」 「そうだよ、そういうことなんだよ」 お互いに顔を見あわせた。 「ごめんね、ことばにしちゃいけないなって思って・・・そのかわりに、ねっ」 と少女は背中の半分ぐらいまでしか届かない袖丈で、ラミを抱きしめて言った。 「とっても、とっても、がんばりましたね」 その当時を思い出してこみあげてきた悲しみが、少女の体の温かさで鎮められていくのが分かった。
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