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そんなふうに、夢を掴んだ人たちは、自分が生きた証を、とてもよくわかりやすく、この世に残していく。それは才能と、運と、努力が実を結び、かたちとなってあらわれた結果だ。
だが、僕を含めて、この世界に生きている大多数の人は、無名のまま、生涯をすごしていく。
僕はこの世界で、あらゆる形の荷物を運び、誰かのもとへと送り届ける仕事をしている。社会の役に立っているとは思う。だが、例えば僕が急に死んだとしても、僕の代わりに誰かがその役目を継ぐ。僕がこの世界に生きていたことも、せいぜい周りのみんなが覚えているだけで、その他の大勢の人たちにはどうでもいいことだ。そればかりか、僕という存在すら知らない人たちのほうが、圧倒的に多い。社会は、僕がいなくなっても、何事もなかったかのように回り続けるだろう。
小さな世界がたくさんあって、大きくなる。だからこの世界にはいろんな出来事や、人や、生き物があふれている。僕がシバイヌの制服を着て荷物を運んでいるということも、きっとこの世界を創るのに必要なことなのかもしれない。
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