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遅い朝ご飯を食べた俺たちは、ホラー映画を見ることにした。
画面からグチャッっとかギャーとか音が聞こえてくる。その度に隣の相沢くんはビクッと震えている。ホラー苦手なんだな。
紬がソファに腰掛け、俺と相沢くんはソファにもたれ掛かりながら画面を見る。
俺、この間もホラー見たんだよな。
紬も俺と同じでホラーを怖がらないタイプだから相沢くんに反応は新鮮だ。
横の相沢くんの反応を楽しんでいると映画はあっという間にエンディングを迎えた。
チラッと隣を見ると息も絶え絶えだ。ちょっとかわいそうなことしたかな。
ソファの上にいる紬を見ると寝ていた。いつの間に。長い間見ることのなかった紬の寝顔を眺めつつ相沢くんに話しかける。
「相沢くん」
「なんですか?」
「ありがとう」
「え、今日のことですか?それに関してはお聞きなさらず。楽しかったんで」
「それもあるけど、紬と仲良くしてくれてありがとう」
紬からは目を離さず話し続ける。
「紬が中等部の時は会えなかったから。君がいてくれて良かったよ」
相沢くんが躊躇いがちに口を開く。
「なんで三上と会わなかったんすか」
「会いたかったんだけどね」
「三上、兄貴があるって一回だけ教えてくれました。でも会えないって」
「そうだね、紬には俺の都合を押しつけて寂しい思いをさせちゃった」
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