00 それはある『転生者』の物語

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00 それはある『転生者』の物語

Ⅰ つまらない人生だった。 物心ついた時から俺は内気で、独りで、誰にも相手にされず生きてきた。 だから今俺がトラックに轢かれたところで問題はない。 どうせ俺に居場所はなかったのだから。 だってそうだろ? この世界のどこに俺の居場所があったと言うのだ。 学校ではなにも悪いことをしていないというのに寡黙だというだけでいじめの対象になり、家に帰れば思春期の子どもの気持ちなど微塵も理解していない親が無意識に俺の心を荒らしていく。 落ち着ける場所など自分の部屋の中くらいなものだ。 俺だけしかいない部屋で、オンラインゲームをやっているときくらいしか俺は生きている心地がしなかった。 自殺も何度考えたのか分からない。 もし、自殺できるだけの勇気があれば、とっくの昔に俺はこの世界から笑顔でいなくなっていただろう。 だから生きているだけでもはや違和感しかない。 だからむしろこちらからお願いする。 頼むから終わりにしてくれ。 帰り道、たまたま珍しく歩きながらスマートフォンを見ていたら、たまたま大して車の通りが多いわけでもない住宅街の交差点でトラックに轢かれるなどという幸運は二度とないだろう。 こんな幸運で、この生きているだけで息苦しくなる世界を抜けられるなら、俺はむしろ俺を轢き殺してくれたトラックの運転手に感謝さえしなければならない。 遺書に書いておけばよかった。 俺を殺してくれるような人がいたら、どうか罪を軽くしてくれと。 ああ、でも流石に生き残る可能性はなさそうだ。 トラックに轢かれたうえ、横転した車体に潰されているのだから。 もはや痛覚さえも機能していないほどの重体なのか、苦痛も感じない。 自分の体がどんな状態なのか、目を開けて確認するのも怖い。 頭が妙に冴えているのも、死ぬ直前だからだろう。 これでようやく、くそったれな人生ともおさらばだ。 ああ… 急に眠くなってきた。 もう時間かな? 親は悲しむだろうが、生んだお前らが悪い。 俺みたいな存在価値のない人間なんて、初めから生まなきゃよかったんだ。 来世があるなら人間はごめんだ。 ナマケモノにでもなりたいな。 寒い、眠い、サムイ、ネムイ… … … … 別にこの世に未練があるわけではないが… … … … … … … せめて死ぬ前に … … … … … … … … … … … … … 童貞卒業したかった。
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