04 少女の導き

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金髪の小娘は何が何だかわからず混乱してるみてえだが俺には関係ねぇ。 「ダンベル……よかった……無事だったんだ……よかった…」 「チッ!余計な心配してんじゃねぇ」 あんな目に遭ったってのに他人の安否を気にするなんて随分余裕じゃねぇか。 これなら何の問題もなさそうだな。 早くこのクソガキを利用してこの町から出ねぇと。 キョーマは奴隷の金髪娘にどっから取り出したのか分からねぇ服を着せながら話しかけていた。 ガキ同士の会話に興味はねぇ。 時間もねぇし商人の裏口とやらを探しに行くか。 「行くぞクソガキ」 「…あ、ああ…」 クソガキはノロノロと起き上がる。 その動きのノロさで、なぜだか知らねぇがやけにイラついた。 「おせえよ!早くしねぇと日が暮れるだろうが!」 「ああ…ごめんな…」 いつもなら噛みついてくるところだが文句を言ってくるけはいさえない。 そのしおらしさが余計に俺をイラつかせる。 「さっさと商人どもの出入口とやらを探すぞ!」 ノロ過ぎたからガキの片腕を引っ張る。 ガキは顔をひきつらせていた。 痛かったのか。 だがそんなのどうでもいい。 一刻を争うんだ。 「おい。あんた」 その光景を見ていたのかキョーマが口を出してきた。 「その子はひどい目に遭ったばかりなんだぞ。そんな扱いはないんじゃないか?」 「ああ?てめえには関係ねぇだろうが」 「関係ないね。けど、小さい女の子が乱暴されてるのを黙って見てるわけにもいかないな」 キョーマの目の色が変わる。 さっきまでの協力的な空気はなくなっていた。 ここでこいつを敵に回せば今までの苦労が全部無駄になっちまう。 なのに、 「うぜーよガキが。乱暴なんてしてねぇだろ。ただ腕を引っ張っただけだ。こんなのはいつものことだボケが」 苛立ちを抑えられない。 俺とクソガキの話に割り込んでくるキョーマが邪魔で仕方ない。 「そうは見えない。その子痛がってるから、まずはその手を離しなよ」 「いやだね。亀みてえにおせえから引きずって連れていく」 俺がそう言った直後、一瞬の出来事だった。 視界が急に上下逆さまになって、気づいたら地面に背中を打ち付けていた。 掴んでいたはずのクソガキのももう手元にいない。 起き上がって確認するとキョーマがクソガキと金髪娘を連れて俺から距離をとっていた。
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