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その日からなっちゃんの物が時々無くなるようになった。
上履きから始まり、ヘアピン、筆箱、ノート、防災頭巾まで無くなってしまった。物が無くなるたびに私たちや先生も一緒に探したが結局どれも見つからなかった。
私たちが一緒に探しているとなっちゃんは、いつもごめんねって申し訳なさそうに笑うのだ。そんななっちゃんの顔を見て私も胸が締め付けられたように苦しくなった。
冬休みが開けて少し経った頃。
学校の玄関に先生や何人かの生徒が集まっていた。
近くにいた同じクラスの良子ちゃんに聞くと、
何人かの上履きの中に画びょうが入っていたのだと言う。
その日はなっちゃんの事もあって学校中が大騒ぎになった。
夕方、みんなの保護者が集められて話し合いがあった。
結局その犯人もわからなかった。
4月になり、学年も4年生から5年生へ上がった。
相変わらずなっちゃんの物はなくなることが多かった。
そのたびになっちゃんは申し訳なさそうに笑いながら探していた。
その顔を見るたびに私の心臓が握りつぶされるように苦しかった。
そして私は黙っていることに耐えられなくなってしまった。
なっちゃんのあの泣き笑いみたいな顔が頭から離れなくなっていたのだ。
5月の連休初日
その日の朝、私は朝食も食べずに家を飛び出すとなっちゃんの家へ向かった。
朝早くいきなり訪ねて来た私になっちゃんのお母さんは驚いたものの、一緒に朝食を食べようと言ってくれた。
私はなっちゃんとなっちゃんのお母さんと一緒に朝ごはんを食べた後、なっちゃんの部屋へ行った。なっちゃんの家へは何度か来たことがあるが、なっちゃんの部屋へ入るのは初めてだった。
突然どうしたの、と聞くなっちゃんに私はうまく言葉がでなかった。
なっちゃんのお母さんが置いて言ってくれた麦茶入りのコップをぎゅっと握ったまま私はうつむいた。
するとなっちゃんはお菓子持ってくるね、そう言って部屋から出て行った。
なっちゃんの部屋に残された私は持っていたコップを机の上に置いた。
言わなくちゃ、なっちゃんにちゃんと言わなくちゃ。
そう思っていてもいざ本人を目の前にするとなかなか言葉が出なかった。
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