幽霊が出るキャバクラ4

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幽霊が出るキャバクラ4

そして、たまたま出たのだ。 いや、幽霊ではなくて、その幽霊に纏わる「話」が。 キャストの女のコがその話を振ったのか、老紳士の方から口にしたのか、それはどちらだったのか、私はもう忘れてしまった。 けれど、その話が出た際に、老紳士は顔を曇らせると、皺が深く刻まれた顔の、白い眉と眉の間、眉間の皺をさらに濃くした。 「私はねえ、その女のコを知っているんだよ」 そして、一瞬場がシーンと静まる、そんな一言を酒やけでしゃがれた声で発したのだった。 何名かのキャストの女のコが勢いよくそれに食いつき、是非とも詳しい話が聞いてみたい、と言ったように、ワクワクと瞳を輝かせた。 私も、もちろんそっち側のキャストだった。 しかし、私たちよりも年上のキャストのお姉さん達は、身を乗り出すことなく、ただ押し黙り自分がオーダーしてもらった酒に口をつけ、大人しくしていた。 騒ぐほどの話ではないと思ったのか、興味がなかったのか、それともこの老紳士が既に以前語ったことのある話で、彼女達はもう内容を知っていただけなのか。 それはわからなかった。 もしかしたら、もう、件の彼女と会ってしまったことが、あるのかもしれない。 そんな夜迷いごとが、頭を過る。
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