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幽霊が出るキャバクラ5
老紳士は言う。
あまり話したくないような、そんな様子だったのに、私たち若めの好奇心溢れるキャストの女のコ達の方は、話しの続きを強請った。
強請ってしまった。
「この話をすると、今日出勤している女のコが一人勝手に増える」
と、そう言う。
ますます面白そうではないか、と怖いもの知らずな私たち若いキャストの女のコたちは胸を弾ませる。
しかし、老紳士は哀しそうだ。
あまり、良い話ではなさそうだ、と言うことを察した私は、年上のキャストのお姉さん達と同じように、ソファの背もたれの方へと背中を戻し、自分のドリンクを口に含む。
「その女のコは、もちろん昔この店で働いていた女のコの幽霊だ」
と、そう老紳士は続ける。
そりゃあそうなのであろう、と、皆が思った。
だって、キャバクラ嬢の姿で、この店に現れるのだから、そうなのであろうと誰しもが簡単に予想は出来ていた。
― それで、それで、どんなコ?
― どんな、理由で?
― 何が、あったの?
次々に、興味のあるキャストの女のコたちは、先を急かす。
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