幽霊が出るキャバクラ7

1/1
前へ
/11ページ
次へ

幽霊が出るキャバクラ7

老紳士は話を続ける。 深い話をして、果たして良いものかどうかと、一瞬迷ったような素振りをして、けれど若いキャストの女のコ達はその先を期待し、もっと詳しく知りたいとお願いをする。 彼は困ったように、今日帰宅したら塩を舐めるように、と言った。 そして、出来ればこの店に出勤した日は、帰宅してから必ず塩を舐めると良い、とも言った。 「今日、ラストまで勤務の女のコがこの場にいるのならば、この話はお終いだ」 と続ける。 けれど、そんなあっさり、スッキリとしないところで話を終わらせないで、と何人かの若いキャストの女のコが彼の腕を掴み、揺すって、ねえねえ、なんて甘えて見せる。 私はラストまでの勤務だったので、もういっそ日本酒を頼もうかと思った。 この店のメニューに日本酒はなかったが。 けれど、置いてはあった。 店の厨房にある神棚には、日本酒が備えられていたし、それは毎日取り換えられていた。 でも、と思う。 飲み屋が繁盛するように、と神棚のある店だってそりゃああるだろう、くらいにしか今まで考えたことはなかった。 今だって、そう言った意味合いでやっているただの習慣なのだろう、と、そう、改めて思い込もうとした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加