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屈辱の夜
あの日。
僕は、自らの無力さを嘆いた。
「…で、コレどういう事なの、きちんと勉強したワケ?!」
部屋全体に、ママの怒鳴り散らす声が鳴り響く。
「…もちろん、したよ……ママの言う通り、1日5時間、休日15時間。……でも、ダメだった」
「ダメだったじゃ……!」
ママの手が、僕の涙に濡れた頬を激しく打ち付ける。
本当だ、勉強したのは、本当だった。
自分なりにやり方を模索して、それでちゃんとやった。
もちろん、サボりなんてしていない。
それでも、中学最初の定期テストの点数は、全て50点を下回っていた。
だからママはこんなに怒ってる。
ママは、過程がどうよりも結果を重視する人だからだ。
「…無理だよ、やっぱり無理だったんだ、僕には90点なんて取れっこないよ…!」
「無理じゃありません、努力が足りないだけ………はあ、仕方ないけど、塾行きは確定、か…」
ママは心底うんざりそうに肩を落とす。
そんなに嫌なら、行かせなければいいじゃないか。
僕は、勉強を楽しいと思ったことは一度もない。だけど、ママが「しろ」と言うから、ママが「結果を出せ」と言うから、ロボットみたいに従ってるだけなんだ。
それでも、僕は正義感だけは一丁前に持ち合わせてるから、ヘンに期待に応えようと必死で頑張って、結局ダメになる。
どれだけ努力したって、どれだけ勉強したって、今まで結果が出たことはなかった。
そんな自分が嫌だけど、でも最大限の努力はしてたから、塾にも行かないといけないかな、とすんなり納得してしまった。
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