カモンベイビー・宇佐美家

3/17
前へ
/17ページ
次へ
 そうしてイッサは誘われるままに宇佐美の車に乗り込み、たどり着いたのがこの白亜の豪邸、宇佐美の家というわけなのでした。  イッサは車を降り、自分の荷物(といってもほとんどがさっき宇佐美に買ってもらった服)を両手に持ちました。 「半分持つよ」  と言って宇佐美はイッサの左手に持った荷物を奪い取りました。  宇佐美はそのまま門を開け、豪邸の敷地の中へと入っていきました。  門柱には表札のような木の板があり、そこには「USA」と書いてありました。  (『宇佐美』だから『USA』?)  豪邸の迫力にボーっとしていたイッサは、豪邸に入っていこうとする宇佐美に気づいて、置いて行かれまいと慌てて宇佐美を追いかけました。  宇佐美は豪邸の玄関の前まで来ると立ち止まり、チャイムを鳴らしました。  宇佐美が玄関のチャイムを鳴らしてすぐ、家の中をバタバタと走ってくる複数の足音が聞こえました。  その足音が玄関まで来たかと思うと、玄関のカギがガチャっと開きました。 「おかえり~」  開いた玄関のドアの向こうには複数の若い男が立っていました。   「宇佐美さん、聞いてよ。今日さ、」 「馬鹿、俺の話が先だよ」 「いや、順番からいって俺じゃない?」  複数の若い男たちは宇佐美の持った荷物を受け取ると、次々に宇佐美に話しかけました。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加