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思い出した
今日はとても冷え込む…。手が凍りそうだと握りしめながら殿下のお部屋に急ごう早足になる。
ふと顔を上げ窓の外をみると雪が降っていた。通りで底冷えするような冷え込み。
「雪か…」
そう、前世を思い出したのも雪の日だった。
×××
「ルアネ!ルアネ!!早く!雪が積もってるぞ」
「殿下…そんなに飛び跳ねたら転びますよ」
「大丈夫だ!」
そう言って殿下はこの宮の裏にある森の方へ走り出す。5歳の子供だ。雪が積もるのが余程嬉しいんだろう。
殿下を見失わない様に自分も後を追っかける。
この辺りには。雪が積もって見えないが森と庭とで境目あたりに大きな段差があったはず…
「殿下!お待ちくださいその辺には段差が…!」
雪に足を取られながら進む。殿下は待ってくれていたようだ。助かる
「ルアネもっと奥に行こう!」
と言い私の腕を引っ張る。
「森の中は危ないですがらダメです。庭も沢山積もってますから…こちらで」
「嫌だ!おくいくの!」
「はぁ。殿下、森の中はいつ雪が上から降って来るか分かりませんし、私とはぐれて殿下が雪に埋もれても殿下の事見つけられる自信はないですよ。誰にも見つからないまま凍え死んでもいいんですか?」
下を向き、僕の腕を力いっぱい握りしめながらぶつぶつと呟いてる。 殿下の護衛の僕はもし殿下が埋もれたら必死で探すがこれくらい脅してもいいだろう。しかし、少し言いすぎてしまったか?と悩んでると右手が動き出したので、これは力ずくで戻さなければと思ったら急に軽くなった。
「え?」
振り向くと背中から落下中の殿下が目に入る。嘘だろ…
「る、ルア、ネ…ぇ!」
ハッとなって手を伸ばしている殿下に向かって飛び出す。
「フロガッ。」
自分も空中落下中に殿下の手を握りしめて、引き寄せて腕の中に閉じ込める。フロガ殿下はこの国の第三王子だ。僕と2歳しか歳が分からないしても、僕が歳上なのだから僕が助けねば。更にぎゅっと腕の力を込める。背中の衝撃に備える。
「ゥッ。」
雪がクッションになり思ったより衝撃は無かったが坂道だったらしく勢いが止まらず、そのまま森の奥へ転がり落ちる。殿下だけは無傷で返さなくては。と腕に力を入れる。 勢いがすごく何時止まるのかとヒヤヒヤしていたら、背中と頭におもいっきり衝撃をうけた。
「ウグッ…ツ!!」
ドーンッ!!! ドカッ。ドサッ!!
その衝撃で軌道が代わり周りの木にぶつかりまくった。そのおかげで、勢いは止まり雪の中に投げ出された。身体中が痛い。そして頭がぐわんぐわんする。意識が…。殿下の無事を確認しなくては…と瞼を頑張って開く。
「で…でんか。フロ、ガ でんか」
フロガの金色をふわふわした髪と大きな今にも溢れだしそうな紅色の瞳がこちらを向く。
あれ。。なんだ?いつも見てるのに何故か遠い昔も金髪とこの紅目知ってるような。
「るあね!!ルアネ…!やだ。しんじゃやだ。。私は…なんともない…」
「フロガ、ぶじで…」
ルアネ…。ルアネって私のことダヨナ? 待って…何か 思い出しそう
フロガ… 、王子 、金髪…、紅色、ルアネ、雪
はっ!!?
えっ。。も、もしかして…
こ、こ、ここって。。
もしかして…
毎日楽しみに読んでたBL小説の世界では〜!??!?!!?!
「るあね!!るあね」
めちゃくちゃフロガに揺さぶられる。やめてくれ頭ぶつけた衝撃で色々(前世とか)思い出して頭が混乱しているんだ…気持ち悪い…。今世は、死にかけて前世思い出すってアホなのでは???
「フロガ…揺さぶるの…は、やめ、て」
「わ、分かった…。こんな時に言うことじゃないって分かってるんだけど…」
なんだ?
「ルアネが…私のことフロガって名前でま読んでくれて嬉しい。ずっと名前で読んで言っていっても読んでくれなかったから」
と僕の服を握りしめながら言う。こちとら、元々体温低いんだ。雪の森の中で死にそうな時に何言ってるんだコイツは…。
…意識飛びそう
「アホなのか?」
と気が抜けて笑った事は覚えているが、そこから先はなにも覚えていない。
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