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「なぁ咲久、今から花火しねぇ?」
咲久とは、私永見咲久のこと。
誘ってきたのは、同じ大学に通う幼馴染みの金村流星だ。
彼とは家が隣同士で、私の部屋から彼の部屋までは僅か30センチ。
「いいけど、暑いよ?」
「夏らしいことしないと、あっという間に終わんじゃん」
「じゃぁ、アイス食べながらやろう」
「お、いいね! んじゃ、5分後に俺ん家に来て」
「分かった」
私たちはいつも一緒にいた。
夏休みになると、流星が私を花火に誘うのも恒例になっている。
二人分のアイスキャンディーとジュースを持って彼の家の前に行くと、車の運転席から流星が手を振っていた。
「え、庭でやるんじゃないの?」
「んー、なんか海の方が雰囲気あるじゃん。とりあえず乗って」
私は言われるがまま、車に乗り込む。
「ねへ、雰囲気ってなひ?」
アイスキャンディーを食べながら、問いかける。
だって、あんな言い方をされたら期待してしまう。
「ほっと、伝えたいことはって」
彼もアイスキャンディーを食べながら、そう答える。
私の期待は、胸の中で更に膨らんでいく。
もしかしたら、特別な想いを持っているのは、私だけではないのかもと。
もしそうなら、答えは決まっているけれど、どんな反応をしようかと。
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