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ジルヴァが窓の、すっかり暗くなった外の方を向いて、体中を震わせていた。
「寒いのか?」
「わうっ! わうっ!」
そうじゃないと、首を横に振った。
あれから、奴──匡は、結局熱中症であったが、それは完治したものの、もう一つの問題、ジルヴァが獣から人の姿に変化しなくなった。
あんなにも怒鳴ったのだ、だから、優しくないと判断したのだろう、しかし、今のように、祥也に怯えることなく、至って普通に返事をしてくれる。
原因はなんなんだろうか。
「──ジルヴァ、もしかして花火の音が聞こえんじゃね?」
玄関の方から第三者の声が聞こえ、振り返るとバイトから帰ってきた奴がいた。
何のバイトをしているのか知らないが──いや、いつになったら家に帰るのか。
前に問いただしたことがあるが、「ジルヴァの世話したいんだよ。年の離れた弟みたいで可愛いし!」とジルヴァをぎゅうぎゅうに抱いて言ってきた。
ジルヴァはたしかに可愛い。可愛いが、いつまでもいられても色々な面で迷惑であるのだが。
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