華やかな空の花を探そう

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「……嘘だろ」 「はぁ? まだ疑うのかよ。だったら、ナンパしてこい!」 「俺がするわけないだろう」 「そんなこと、可愛い弟のおれが分からないはずがないじゃ〜ん!」 冗談冗談と、馬鹿笑いをしていた。 はっ倒すぞ。 「わんっ!」 殺意に塗れ、実行に移そうとした時、腕の中で大人しくしていたジルヴァが、祥也の前にある屋台を方を見ていた。 その視線の先に見やると。 「……金魚すくい?」 屋台に書かれているものを読み上げる。 何人かがしゃがんで、漂う金魚を悪戦苦闘している様子が後ろ姿でも見て取れた。 「なんだ? ジルヴァは金魚食いたいっていうのか?」 「くぅん?」 涙を拭いながら尋ねてくる奴に、小さな小首を傾げていた。 「金魚は食い物じゃねーけど、おれが取ってやるぞ!」 そう意気込んで一人、その金魚すくいの人だかりの一人となった。 夏祭りに行ったのは、奴が産まれる前までのほんの数年程度で、ほぼ覚えていなく、金魚すくいは初めて見たにも等しいものだった。 どうやってやるのか、ほぼ興味本位で、ジルヴァと共に奴の隣に並んで見ていた。
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