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「がうっ!」
「いったぁ!」
「なにこの犬っ!!」
意識が遠のいた僅かな時間、腕の中で大人しくしていたジルヴァが、聞いたことのない唸り声を上げたかと思いきや、絡めてきた女子の手を噛みついていたのだ。
「ジルヴァ!」
とっさにその女子から手が離れたことで、一安心──するわけにもいかず、もう一人の女子が、「このクソ犬がっ!」と罵声を飛ばし、引き離そうとしているものの、離さまいと噛んだ口に力が入っているのだろう、血が滴ってきていた。
「きゃあ! 血がっ!」
「早く救急車を!」
先ほどの悲鳴で周りの人達が気づいたのだろう。嫌なざわつきが大きくなっていった。
まずい。このままだと、面倒事が起こる。
「ジルヴァ! やめろっ!」
小さな体を掴み、引き離そうとするが、思っていた以上に強く、なかなか離れようとしない。
「やめろっ! やめろって!」
頑せない子どものように否が応でも引き離さず、さらに力を加えたのだろう、噛まれている女子が暴れ、泣き喚いていた。
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