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バトル開始
「なんで菅野がここにいんのよ! 早く向こう行ってよ!」
橋本莉子 《はしもとりこ》はパパ活の相手との待ち合わせ場所で待っている時に現れた菅野翔栄の姿を見るなり追い払った。
今の莉子の状況は同級生に最も見られたくない場面だからだ。
パパ活をしていることは大学では誰にも話していない。こんなところでかなり年の離れた男と待ち合わせをしているところを見られてしまったら、菅野にどう言い訳していいかわからない。
「誰待ってんの?」
菅野は莉子の元から去っていくどころかこちらに寄ってきた。
「誰でもいいでしょ、菅野には関係ないからっ」
菅野とこれ以上会話をする気はない。それなのにいつまでもここに留まろうとする様子に嫌気がさす。
「もしかして平田 《ひらた》って人?」
菅野の言葉に莉子は思わず菅野の顔をバッと見た。
莉子は出会い専用のアプリで平田と何度か会話をして、顔合わせは必要なし。高級レストランの食事で一万円。他条件も高価格という好スタートでの約束を漕ぎつけたのだ。
だがそれらは当然アプリ上での会話なので、莉子と平田以外に情報が漏れることはないはずだ。
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