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「菅野。何で私が花音だってわかったの?」
酔って頭がボーッとしてしまう前に本題に入りたくて早速菅野に尋ねる。
「俺の親父のスマホを盗み見したんだ。親父は佐藤って言う偽名でお前とパパ活で何度も会ってるって事がわかったんだよ」
菅野の父親は開業医だと聞いたことがある。そして年齢はおそらく50代くらいになるだろう。莉子が定期的に会っているパパのうち佐藤と名乗る男は確か医療関係の仕事をしていると言っていた。
「嘘でしょ?!」
佐藤こと菅野の父親は穏やかな人物で、パパ活にありがちな身体の関係まで求めてくるような男ではなかった。いつも楽しく食事と会話をして別れるだけで、決して莉子に性的なものは求めてこなかった。だからこそ気軽に会えると思っていたのにまさか菅野の父親だったとは。
「俺も驚いた。俺が見る限り、親父もお袋も仲はいいんだ。それなのにパパ活なんてするんだなって。さらにその相手が莉子だってわかってさらに驚いた」
「ごめん……。もう会わないことにするね。菅野のお父さんだなんて思いもしなかったから……」
うつむく莉子に対して菅野は「いや莉子は悪くないから」とフォローしてきた。
「でも私、アプリ上では花音なんだけど。お父さんのスマホを覗いて花音とパパ活してることまではわかっても、花音が私とはわからなくない?」
花音のプロフィールは完璧に莉子とは別人にみえるように造り上げている。
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