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中は意外なほど暖かかった。ユナと並んで吹雪が止むのを待つことにする。
「かまくらまで作れるなんて、凄いね」
「わたしは雪国出身だから」
南の出身のわたしは、雪が珍しくて仕方なかった。本当は雪の上を駆け回りたいくらいだが、流石にそこは自重する。
しばらくかまくらの中でまったりしていると、吹雪の勢いが弱まってきた。穏やかに雪が舞う景色は、それだけで異世界のようだった。
「綺麗だねえ」
「見た目はね」
ユナは意味深な感じでつぶやいた。
「おや、異議あります?」
「雪にはあまりいい思い出がないから。雪かきとか雪下ろしとか」
「そっか、雪国は大変だね」
同じものを見ても、感じることは人それぞれ。同じ事を考えているとは限らないのだ。わたしは改めて、ユナの横顔をそっと観察した。
少しまどろんでいるうちに、雪が止んでいた。ユナも眠っているようだったので、わたしはそっとかまくらを出た。
踏み出した足が雪に埋まる。結構積もっているようだ。わたしは身体がウズウズしてきた。北国出身のユナはどうかは知らないが、積もった雪を見たら、アレを作らないと気が済まないのだ。
土台は少し大きめ、胴体と頭は同じくらいの大きさに。わたしはしばらく雪と戯れていた。
「何してるの」
ユナがかまくらから出てきた頃には、立派な雪だるまが出来上がっていた。
「かわいいでしょ」
鼻につけた小枝がチャームポイントだ。ユナは不思議そうな顔をして、雪だるまを眺めている。
「なんで三段なの」
「え? うちでは子供の頃から雪だるまは三段だったけど」
「……レミって欧米出身?」
わたしユナの言う意味がわからず、首を傾げた。
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