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翌朝、わたしがテントの中で目を覚ますと、またしてもユナが朝ご飯を作っていた。テント脇には洗濯物まで干してある。昨日のうちにやっていたらしいが、少しも気づかなかった。わたしは一気に目が覚めた。
「ごめん、ユナちゃん。全部やってもらっちゃって」
「別にいいよ。顔を洗っておいで」
ユナお母さんは何でもないように言うが、こんなことではいけない。
「次はわたしがやるからね」
「だから、いいって。二人分になったってそんなに変わらないし」
どうしてそんなに良くしてくれるんだろう。わたしが見ていると、ユナはため息をついた。
「……二回失敗したとき、お願いしたの。一緒に旅してくれる人が欲しいって」
彼女も言っていた、ひとりの心細さ。わたしはそれを埋めるためにここに呼ばれたということか。彼女はわたしに気を遣っているのだろうか。でも、死後の世界に来る原因を作ったのは、他でもないわたしだ。あれは、ある意味で自分の意思だったと言っていい。
「それなら、尚更だよ。一緒に旅するなら、わたしだってやることはやります」
「じゃあ、レミはリュック担当ね」
「えっ、専任はちょっと……」
わたしが返事をためらうと、ユナが少しだけ笑ったような気がした。
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