産まれてから、ずっと。

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産まれてから、ずっと。

再び目が覚めた時。 私の身体は綺麗に拭かれたのか… 身支度もしっかりされて上質そうな生地のワンピースをだった。 着てベッドの上に横になっていた。 側に居た彼が私の目が覚めた事に気付き… ベッドに近付き腰をかけて優しく話しかけてきた。 「姫… 先程は『いきなり』でしたが… 身体や気分は、どうですか? 貴方が寝ている間に、若干、体力なども。 回復をさせましたが… まずは先に『お礼』を言わせてください。 ありがとう。 無事に『子』も産まれました。 貴方は紛れもない、我が一族の母になる女性。 そして、『姫』であり、『私の妻』です。」 「え… ぎ、ん… えっと…?」 なぜか私はボンヤリと。 何かが変わったような感じがする。 ハッキリと掴めない『感覚の中』で思い出そうとする。 ************************** 銀楊(ぎんよう)は内心、思う。 様子を見て思考する。 これは『刺激をしない』ようにしなければ。 だが、これで、もう… 『一族は無闇に手を出せない』だろう。 私が『長に居る』限り誰もだが。 これで更に『守り抜ける』のも… だが、まずは『説明』より優先すべき事を。 ************************** 銀楊(ぎんよう)は優しく言った。 「姫。 私の事は今後、『(ぎん)』と呼んでください。」 少し笑い、また少し優しくも身体にも触れる。 その様子も変化も見逃さないようにと… 銀楊(ぎんよう)は思考もする。 私は思い出していく。 「銀… ねぇ、銀。 あれが… 私の…?」 「そうですよ。 普通の人間、普通の女性では不可能。 『姫』である貴方にしか出来ない事です。」 そう言うと銀は優しく私の頬にキスをした。 「どうしても抑え切れず、いきなり… 『無理』をさせてしまいました。 けれど初夜から『我が子を産んでくれる』とは。 思ってませんでした。 貴方は本当に素晴らしい。」 そうだ、私は… いきなり、ここに連れられて来て。 何だか、判らないまま… けれど『身体の変化』が… 夢ではない事を知らせる。 意識もしてなかったけれど… 徐々に自分自身に起こってる事が。 『異常』である事や今ですら何も判らない事に。 それを突きつけられるような『感覚』がして… 勝手に涙が零れる。 銀楊(ぎんよう)は『違和感』をすぐ察した。 だが、どれが『答え』か、明確でもなかった。 「姫… どこか、具合が悪いのですか? 痛い場所などが…」 私は少し焦るように聞いてくる銀を見ても… 目を閉じて俯いた。 違うと首だけ横に何度も振るのが精一杯だった。 私は『人間』なのだろうか… 違かったの? それを『知る』のも。 銀は少しだけ戸惑う様子で私の横に来て… 優しく抱き起こすけど… ただ何も言わず、優しく背中を擦ってくる。 でも私は銀が… 銀が… こうする『理由』は、1つしか浮かばなかった。 違う!! 銀は… 私を大切に扱うのは『貴重な子を産む者』だから… それぐらいしか、思いつかないから… 更に、これから『先が』判らなくて。 良く判らない気持ちが押し寄せてくる。 私は声を出さず、ただ俯いた。 銀は軽いキスをしてきたけど。 「どうしたのですか? 何か… 欲しい物があれば、取り寄せましょう? この部屋の中であれば…」 「ぎ、ん。 銀は…」 「どうしたのですか、姫。 大丈夫… 大丈夫です。 私に何でも話してください。」 涙だけ、どうしても零れた。 ゆっくりと、銀は私の言葉を待つ様子にも見えた。 でも… 「ぎん… 私、私は何? 『人間』では、なかったの? 銀は… 『私を好きになった訳じゃない』のに。 あんな…」 銀楊(ぎんよう)は内心、その言葉にも驚くが隠す。 それに『全て』を知っているのもある。 だが、『誤解を解く事』を優先した。 「姫、違いますよ? 確かに、いきなり、してしまったことは… 許して欲しいのですが… 私は…」 私は銀の言葉を最後まで聞く前に叫んだ。 「違う!! だって銀にとって… 『私はただの子を産むだけの者』でしょう!? だから!! そうやって『大切』にするのでしょう!? 私は、そんなの… 嫌だ!!」 すぐ銀から逃げようとベッドから飛び降りるが。 急には足へ力が入らず、転びそうになる。 「っ!?」 !! 咄嗟に私は目を閉じていたけれど。 痛みなどもなく… でも抱き支えたのは言うまでもなく。 銀だった、だけど… 私は銀を見たくない。 どうにか言う。 「離して、私は… 私は、帰る。」 「姫、少し話を聞いてく…」 銀の声が聞こえたけど。 私は、がむしゃらに振り解く。 私の場所は『ここ』じゃない。 こんな場所は知らない。 銀なんて、『妖狐』なんて、何も知らない。 判らない!! ただ、部屋から出ようとドアへと向かう。 けれど万華鏡のように視界が歪んだかと思えば… またベッドの側に戻ってた。 私は、それも悔しくて、そして『無力』である事を。 痛感するようで… 今まであった生活も『全て』なくなったような感覚が苦しくもなる。 何度も振り返ってドアへと向かおうとはするけれど。 でも、何も変わらなかった… またベッドの側に戻るだけ。 それにも零れる涙を止められない。 こんなのは『嫌』だ!! 何も出来ず、何も判らず。 ただ、ここに居るなんて『嫌』だ!! ベッドサイドに置かれてある花瓶が目に入る。 それを私は手に取ってから、すぐ床に叩き付けた。 また、すぐ銀が声も聞こえた。 「姫!? どうか落ち着いて!!」 その『言葉』が余計に嫌だった。 違うっ!! 違うのっ!! そうじゃない!! 「私は!? 『姫』じゃない!! 『私は違う』、私は!!」 もう完全に判らない!! もう『全ての否定』を。 私はそんな『姫』なんかじゃない!! そんなのは知らない。 割れた『花瓶の欠片』が視界に入り手を伸ばした。 この状況が変わるかもしれないと。 そのまま『自分自身』に突き立てようとした瞬間。 無数の尾が、腕も、身体も動けないように伸びて捕まれる。 それに対して… すぐ銀楊(ぎんよう)も慌てながら動いていた。 そして『全て』の状況、言動も『思考』する。 「姫、落ち着いて…」 「やだっ!! 離して!!」 私は『姫』なんかじゃないっ!! 銀楊(ぎんよう)は『全ての状況』を思考し『理解』した。 だから大きく叫んだ。 「落ち着け、光希(みつき)っ!!」 銀の大きな声で、私はビクリとし、力を失う。 そして抵抗も忘れた。 今、銀は… 私を『姫』ではなく『名前』を、呼んだ? 銀は素早く私の手から花瓶の破片を奪う。 強く握りしめたせいで出来た傷から滲み出る血を見る。 銀楊(ぎんよう)は表には『感情』を出さないよう… 抑えるが。 そのまま光希(みつき)を軽々と持ち上げ。 またベッドの方へと連れていく。 そして、ゆっくりと降ろしてから言う。 「なんて、また無茶な事を。 姫、いや… 『光希(みつき)』。 『誤解』している。 まずは落ち着きなさい。」 私は少し驚く。 今までと明らかに『口調も態度も』変わった? そのまま有無を言わせないように… 私の傷付けた手を掴んだ。 銀の右手から温かなオレンジ色の光が浮かんだ。 その光で私の手を包み込むようにすると。 アッサリと怪我は治ってしまった。 銀楊(ぎんよう)は思考し、すぐ『理解』もした。 それから『更に思考』する。 まずは『口調』を、それに合わせ『言葉』を選ぶ。 『落ち着かせる』為に… 「お転婆なのは『昔から変わらない』な… 『光希(みつき)』は…」 「私の… 『名前』を。」 『姫』ではなく確実に『私の名』を呼んだ。 だから私は銀を見る。 「最初に言った筈。 18年間、貴方を待ったのだと。」 その視線を察した銀楊(ぎんよう)は… そこで一度、目を閉じる。 『言葉』と『光希(みつき)の性格』もだろう。 何が『最善』かを。 それは頭の中で『様々な予測と想定、思考を』巡らす。 『現状の全て』を、思考して出した『答え』を。 僅かな瞬時にも等しい程の速度で、導き出す。 そして目を開けて『言葉を選び』言う。 「私は『光希(みつき)』が生きてきた。 18年間を。 我らにとっては『短く』ても… 人間には『長い時間』を。 ずっと『側に居ました』からね。」 銀の、また『口調』が和らいだ… 少し笑いながらと… 「光希(みつき)は、若干、お転婆過ぎて… 『何度』こちらが焦った事か。 数えられないものでしたよ? どれだけ、すぐ攫って連れて行きたかったか… けれど、せめて『人として産まれた』以上は。 人の世で過ごす間を作ろうと。 私を含めて『最低限』にしか関わらないように心がけた。 光希(みつき)は幼かったから忘れてしまってるだろうが。 何度、怪我も治した事か。」 銀楊(ぎんよう)は、そのまま… 穏やかな口調で子供を諭すように話す。 「知って、いたの? ずっと…?」 銀が優しく、さり気なくキスをして。 そのまま優しく抱き締めると。 ゆっくりと私に話し出す。 「光希(みつき)は自分が。 『何なのか判らない』と言ったけれど… 私は知っています。 光希(みつき)は『本来ならば、妖狐一族の者』です。 ですが、『身体は人間』でもある。 ここから先は、もう少し馴染んでから。 話そうと思っていたが… それで落ち着くのであれば、話すけれど?」 私は、ただ、頷く。 そう、私は何なのか… その仕草で銀楊(ぎんよう)は息を吐いた。 そして語るように目を閉じて話し出す。 「妖狐の一族では、なぜか『女児の妖狐』が、とても『弱く産まれて』居たそうです。 それは『記録』にはあるだけで、私も実際に『女児の妖狐』を見た事がありません。 そして『長命な一族』にも関わらず、『とても弱い為に短命』であったと。 その数も『少なくなるばかり』だったそうです。 そこで、いつしか『人の血を混ぜる事』が生き残れる『最善』となり。 妖狐族は、もう遥か昔に『人と交わり』を持ちました。 けれど、それでも『女児は減って』いき… 結局は『産まれなくなった』と、記録されてます。 ですが、『光希(みつき)』のように、とても強い。 『先祖返り』のような形でと。 『人と人との間に、刻印を持って産まれてくる』ように、なったそうです。 また、その『女児だけ』が妖狐を産めることから『姫』として。 一族へと戻して、その都度、『妖狐の子を産ませ』一族は難を凌いだそうで… それからは『姫』を見つけた場合。 すぐ妖狐一族は捕らえ、『繰り返した』と読みました。 その歴史は、とても長い為、『全て』を今は言いませんが。」 そこで一旦止めて、銀楊(ぎんよう)は目を開けた。 ただ、素直に聞いてる光希(みつき)を見る。 「だから光希(みつき)は『先祖返りの妖狐』でもあり。 けれど『身体は人間』でもある。 そして我が一族の『姫』であり… 我が一族、『唯一の希望』でもある。」 「私の… 血に?」 どうにか言う様子の光希(みつき)にと。 銀楊(ぎんよう)は少し笑って続けた。 「正確に言えば『光希(みつき)の父方』が我ら一族の『混血』。 勿論、混血と言っても、かなり薄まり。 『光希(みつき)』の父は『普通の人間』と何も変わらない。 もう人間の中でも血は既に薄まり過ぎてしまった… それゆえに『光希(みつき)のような強い女児』は、もう数百年に1度。 産まれるか、産まれないか、『今の現状』になるんですよ。」 私は、でも銀が、そこで目が… それは、どこか憂いを帯びる瞳になったのを。 更に私を見つめてくる。 「この『人間の混血』も薄まり過ぎた事で… 妖狐族の『姫が産まれる間隔すらも長く』なった。 更に『純血の妖狐に女児は存在しない』。 私も待ちながらも、もう光希(みつき)? 『姫と言う存在にも会えない』かもしれないと。 何度も思って居た程。」 銀の憂いた瞳が閉じ、また私にと。 優しいキスを、軽くすると。 そのまま目を閉じたままだった。 「光希(みつき)が『産まれて』きてくれた時。 どれだけ私が『嬉しかった』事か… それまで私は、ひたすら『一族の長になる為』に。 今日まで『長い時』を生きてた。」 思い出す銀楊(ぎんよう)は目を閉じたまま、言う。 「私は、ずっと考え続けながら生き… そして長を目指す事を決めた部分は、まだ言わずにいますが…」 銀はそこで目を開けた。 私を見て、改めて言うようにだった。 「私は『歴代のような繁殖だけ』の形をしたくはない。 『その為にも長』になった。 だから『今後の策』も勿論、考えてるが… 私は『光希(みつき)』を。 君だけを愛したい。 君だけを守りたい。」 産まれてきてくれた事を喜ぶと。 私だけを愛すると。 そんな恥ずかしい事をスラスラと口に出す銀に… 何か言いたいけれど、私は恥ずかしくなる。 顔が赤くなるのが判る。 慌てながら隠そうとはするけど既に遅い。 ただ、私は、もう小さく頷くしか… その場は出来なかった。 それに対し銀は何もかも判っているように… また少し笑った。 私は、こんな映画の台詞みたいな言葉を受けて。 どうしたら良いか。 ただ恥ずかしくなるのもあるけど… それに銀の事を。 私も、まだ全然、知らない。 それなのに正しい返答なども出来ない。 ただ、恥ずかしくなるだけで… 小さく俯くしか出来なくなる。 ************************** 銀楊(ぎんよう)は思考する。 光希(みつき)の性格。 さっきの言動。 どれが『最善』かを。 まずは落ち着かせる。 だが、ゆっくりとしなければ… 光希(みつき)は『知らないだけ』の事。 それに『光希(みつき)の場合は特に』だ。 私は、ずっと18年間… 見て知っているからこそでもあるが。 『全ての最善』を。 かなり『慎重にしなければ』ならない… ならば… ************************** 恥ずかしくなり既に赤い顔を隠そうとしてる。 銀楊(ぎんよう)からしたら光希(みつき)の予測も出来る。 そして、やはり思うのだ。 『可愛い』と、つい笑ってしまう。 私は銀の様子も見れない。 でも私は、その時。 一瞬、本当に、お子様的な事が頭に浮かんだ。 「あ、えっと… 少し、聞いて、良いかな?」 銀楊(ぎんよう)は、すぐ口調は光希(みつき)に合わせる。 「何でも聞いて構わないよ? 光希(みつき)。」 「銀って… 今、いくつなの? 見た目、20代ぐらい? には、見えるんだけど…」 銀楊(ぎんよう)は内心、その言葉に笑うが。 表には出さない。 「20代と… それは、また… 驚くよりも、喜んだら良いのかな?」 そこで銀楊(ぎんよう)は、さっきと、また違う。 本当に笑いそうにもなるが、堪えながらも。 これは『予測が出来るから』こそ、やはり堪えきれず。 少し笑いながら光希(みつき)へ言う。 「これでも、実年齢なら。 私は約540ぐらいですよ?」 「ごっ………」 私は銀を見てても頭が真っ白になる。 そこで社会科の教科書を思い出した。 けれど、そもそも何時代だ、今は? 頭が真っ白? 瞬時に出てこない私だったけど? もう、それは… 私の頭の善し悪しではない事にしようと思った。 それなのに銀は少し笑いながら言う。 「やっとだよ? ようやく光希(みつき)に出会えた。 そして私の子を産んでくれた。 一族の中には会う事もなく死を迎えてしまう者もいる中。 私は、とても幸運だ。」 僅かな疑問を私も言う。 「…長命なのに?」 でも銀の瞳が、また私は少し陰る気がした… それでも話しを続けてきた。 「なぜ私が『一族の長』になれたか。 判るかな?」 私は素直に首を横に振った。 「私は尾の数も含め、そして今は『一族の長』。 これは『妖力や実力の証』でもある事。 治療術を含め『全て』を。 一族の中で誰にも負けない為に… 長候補達からも『全てに勝ち』続けたからこそ。 それは光希(みつき)? 『長』ではないと… 『光希(みつき)に触れる』事は… 許可されていないからなんですよ。」 銀楊(ぎんよう)は遠い昔を眺めるように… 光希(みつき)の髪を撫でながら続けた。 「これが、さっき言わなかった事ですが… 全部ではなくても少しだけ話しましょう。」 銀楊(ぎんよう)は視線を下に落としてから言う。 「『子を産むだけの存在として姫を扱う時期』が。 確かにあった事。 『私の母』が、そうでしたから… けれど、それは確実に『姫の精神は壊れて』しまう。 実は私も1度だけ、母を見た。 それこそ本当に子供だった私が。 私の母は… 最後は、もう、ただ… 『人形のように感情も全て失って言葉すら何も反応』しなかった。 それは『多くの子を産ます事』だけを。 『当時の長は重要とし実行していたから』と言う事。 けれど『私の考えは違う』と… あの『壊れてしまった母』に、誓ったんですよ。 私は『こんな選択』はしないとね? その後は考えましたよ、いろいろと。 でも、まずは私が『強くなる事』が前提。 一族で『長と言う地位を得る』事を。 それをしなければ何も始まらないと。 ずっと『光希(みつき)を待ちながら限界』を上げ続けた。 どんな敵も倒してきた。 『地位を守る為』に、あらゆる物事を習得した。 『必ず長になる』と小さい頃から、ずっと。 それでも『私の生涯に現れるか判らない光希(みつき)』を。 待ち続けた、正直… 『諦めた方が楽だった』かもしれませんが… けれど私は出会えた。 あの時、どれだけ私が『嬉しかった』か。 すぐにでも攫ってしまいたかったが、18年間を。 それすら、もどかしいような想いを何度させられたか…」 私でも判る、その陰り… 更に銀が濁した意味は… それを『言葉を選ぶ』ように『銀が』続けていた。 でも、何となくだけど。 本当に明確な言葉は判らない。 私はそれを少し『銀が痛く』思えた。 だから話題を違う方へとズラした。 「もどかしいって… そんな子供相手に、らしくないよ?」 銀楊(ぎんよう)は、『それ』が、すぐ判った。 やはり私に、気を使わせたかと。 でも、その事を光希(みつき)には気付かせない。 ならば話に合わせようと思って言う。 「おや、光希(みつき)が7歳の時。 学友の男性に渡していた手作りチョコなどは?」 「わあぁ!! やっ、ちょっと!? 何で知ってるの!! 忘れて、恥ずかしいっ!?」 銀楊(ぎんよう)にとって光希(みつき)の思考も簡単に読めた。 そして知っている、どれだけ光希(みつき)が純粋かも。 なぜ、子供っぽい性格のままかも… 「11歳な時には。 日記帳に憧れの部活の先輩の写真などを。」 「いゃー!? なんで!? どっから見てたのよ!! 何で!?」 「14歳の時には。 まさに身体まで成熟し出して…」 「うぁぁ!? やだ、変態!! 覗いてたの!?」 「いえ、私は遠視も出来るので、一応? 光希(みつき)の18歳まで、どうにか。 『周りには男性』を近付けたくなくて、つい『邪魔』を。」 うん? 今、何て言った…? 聞き間違えた? 私は頭だけでなく、耳まで? 変になったの? そこで銀を少しだけ見て、私も、どうにか言う。 「え、じゃ、邪魔?」 でも銀は少し笑って普通に言ってきた。 「えぇ、光希(みつき)は気付いてなかったようですが。 かなりの数が光希(みつき)を狙って、近付こうとしてたんですよ? 妖狐の女児は歳を重ねる程に『魅惑』すらも強くなっていくからね。」 「魅惑? それは関係ないよ…」 私は改めるように銀にキッパリ言い切った。 「そんな邪魔しなくても良かったと断言する!!」 銀楊(ぎんよう)は、そのキッパリした発言に… 内心、かなり驚いていた。 『嘘は全く』ついてないからだった。 だが、そのまま見てると光希(みつき)は、そんな事も知らず。 更に大きく言う。 「だって私は『普通』過ぎる!! いや、平凡過ぎるの!! この歳まで、今まで『銀』みたいに!? 私を普通に『愛するようなイケメン』はあり得ない!!」 それに続けようとする光希(みつき)の言葉を。 銀楊(ぎんよう)は読んだ。 「私は今までモテた事すらない!」 「私はモテた事がない。」 ん? 今、ハモった? 銀楊(ぎんよう)は、また少し笑う。 そう、『同じ意味』を言葉にした事でだった。 光希(みつき)の顔が面白かったのだ。 「ちょっ、えっ?」 そこで銀楊(ぎんよう)は『確信』もする。 ゆっくりと手を光希(みつき)へと、頭を撫でる。 どうしても、やはり少し笑いながら言う。 「違うんだよ、光希(みつき)? 気付いてないだけなのは、本当だ。 実際に光希(みつき)は可愛い、更に歳かな。 重ねる程に綺麗なんだよ。 それに全然、気付いてないだけだ。」 少し思い出しながらも、これなら判る筈だと。 銀楊(ぎんよう)は『言葉を選び』、光希(みつき)へ問うように話す。 「でも思い出してごらん? 光希(みつき)が少し『好意を寄せた異性』は… 『全員、他の要因が』あって『簡単に諦めてきた』だろう?」 「えっ?」 「確かにね、多少。 光希(みつき)は『異性には好意』を寄せたよ。 だが、私が『邪魔をした』だけ… でも光希(みつき)光希(みつき)は、すぐだ。 その『異性への好意』は簡単に『消える』だろう? それは光希(みつき)が異性を。 今まで、まだ『好きにはなってない』んだよ。」 「んっ?」 どうにか考える様子の光希(みつき)銀楊(ぎんよう)は続けた。 少し嬉しいのも本当だったが。 「光希(みつき)には、まだ『初恋』すら… ここに私が連れて来た時ですら『してなかった』よ? 光希(みつき)には、今の意味が、判るか?」 「…え? いや、でも。 えっ?」 必死に私も考えるけど。 でも… それにと嬉しそうに銀が言った。 「考えても『答えもない』だろう? それは光希(みつき)が『恋』すらしてないからだよ? 確かに光希(みつき)を『明らかに狙ってる者は排除した』が… 光希(みつき)自身が気付いていないんだ。 時折、確かに寂しそうな目もした。 だが、その『異性に対して、1度も泣いて』すら居ない。 すぐ縁がなかったようにだ。 簡単に『少ない好意』を寄せた者さえ『普通』に忘れる。 『好意』はあれど『恋などはしていない』よ。 皆が綺麗に思いながらも、近付けないだけの事。 それにも気付いていないから… 普通に自分はモテない、平凡と言う。」 「え? でも、でも… じゃあ、私の周りに誰も男子が来ないのは… もしかして…」 それに銀が清々しい程の笑顔で言い切った。 「えぇ、私が『全て駆除して』おきました。」 私はプチッと何かが切れるような音まで聞こえた気もした。 「酷いっ!! 私だってね? 年頃なの!? いろんな友達の彼氏とか? 好きな人の話しとか? 聞いてるのが羨ましかったし!? でも私には無理だって… 諦めたりもしたのに、それって!! ずっと…」 そこで銀楊(ぎんよう)は、すぐ動いた。 光希(みつき)にと顔を近付けながら言い切った。 「では、私に『恋』をしてくれませんか?」 私の言葉を言い終わるよりも… 先に割り込むように銀は普通にとだった。 それは… 私は恥ずかしい上に、おかしい!? 「…恋より先に!? 銀なんか、私を昨日… 散々… それなのに良く、そんな事を!!」 また、すぐに銀が遮り言う。 「おや、確かに。 それは失礼しました。 では、これから改めて…」 急に私を引き寄せて顎に手をかけ、キスを。 さっきまでの、優しいキスとは違う? 深いキスを。 私は唇が奪われる。 舌が、どんなに逃げても口内を蹂躙するように動く。 「んんっ… あっ… ちょっ、んっ。 んんっ!?」 銀は巧みに舌を動かてくる。 舌を絡めたかと思うと唇を吸い、更に首筋も舐める。 そんな行為に身体がビクリと。 反応してしまうのも私は恥ずかしい。 「あ、んんっ。 や、あぁ、先に恋をって。 これは、ちが… ぁあっ!?」 何本かの尾が私に絡み付き、身体を刺激し始める。 嬉しそうな顔で銀が言った。 「光希(みつき)、これだけは信じて欲しい。 光希(みつき)は誰よりも可愛くて… そして、とても美しい。 私以上に『光希(みつき)を愛している者は居ない』よ。」 僅かに着ていたワンピースを脱がしながら… 既に露出している部分へと手が触れてくる。 「あぁん、ふぁっ。 それとは、また… やぁ、んぁん… あっんんっ!?」 私の下腹部へと、銀が、ゆっくり手を伸ばした。 尾が動きすら抑えて敏感になっている部分へ。 擦るのと同時に乳首を舌先で転がしてくる。 それにと勝手に身体が『反応』した。 「あぁぁ、待って… あっ、んん。 ふぁ… んあぁっ。」 その反応に嬉しそうな顔をしながら銀は言う。 「光希(みつき)。 私達『妖狐』は異性に『思いを伝える時』は… 相手に『触れる』事を。 相手を『どれだけ愛しているか、それを表現する』事を。 私は『光希(みつき)を愛している』。 だから誰よりも『光希(みつき)を感じさせてあげたい』と。 常に『思う』のだよ。」 そんな銀の言葉と一緒に動く手が。 他の様々な動作に翻弄される中で… 更に、また銀の指が敏感な部分の側まで近付く。 でも私は、すぐキスで唇を塞がれる。 その隙に銀の指が私の中へ… ゆっくりと入ってくる。 「んんっ!? んぁん… あっ。 ふぁ…っ。 んんっ!?」 私の中を念入りに指で確かめるよう動かされる。 グチュリと執拗に弄られると… 銀は私の唇を解放して言う。 「あぁ、良かった、傷もない。 『前回より』も柔らかい。 『私を受け入れていたのが判る』のが嬉しいよ。 私は『光希(みつき)を』愛している。 だからこそ… 私は『光希(みつき)へ最上の快楽をあげたくなる』んだ。」 指が増え、何度も出し入れされる。 掻き回すようにグルッと指先を動かされる。 「あぁあぁ!! だめ、やぁあっ… ふぁあ…」 「気持ち良いだろう? ほら、こんなにも濡れている。 今日は、このぐらいが。 きっと『1番、気持ち良く』なれる。」 銀は前回より少し大きい肉棒を私は見た。 そのまま指を一気に引き抜かれた。 それにと身体だけが反応する。 「ひぁ、んぁん。 あぁ… うぁん!?」 指より先に複数の尾が… 私の身体を弄りながら刺激を続ける。 他の尾も乳房を揉むように動かされる。 もう身体中を刺激してくる。 尾が私の脚に絡み付き、ゆっくりと… また私の中に銀は自らの肉棒を入れてくる。 「あぁん!! ひっ、あ… や、あぁ!? あぁぁ!!」 「どうですか? 光希(みつき)? 『今の光希(みつき)の中に合わせている』から… 気持ち良いでしょう?」 グチュリと水音を聞こえた。 深い挿入を繰り返される。 それだけでなく尾が身体を時折、刺激もする。 私は、もう、何か… 「あぁあん!! ぁあぁ、んぁっ。 ふあぁ… んあぁん!?」 「これでも『まだ抑えてます』よ? 光希(みつき)の中は、まだ『早い』から… でも、もう… こんなに濡れて締め付けてくる。 良いんだよ。 そのまま『身を委ねて』ごらん。」 更に肉棒の出し入れの激しさが増していく。 「はぁん!? あぁあぁあ!! ぎん、ぎんの、あっ!! ふあぁ、あぁ… なに? これは… っぁあぁ!!」 「あぁ、私も光希(みつき)の。 そんな顔を見ていたら… 我慢が出来なくなりそうだ。」 「あぁぁ!! だめ、もう、だめぇっ!! あぁん!?」 光希(みつき)の喘ぎと共に締め付ける中にと… 銀楊(ぎんよう)は一気に出して流し込んだ。 「ふぁ!? あぁ、あつい… あついのがぁ、中にぃ!?」 ドプリドプリと、その量が多く感じられる。 そして体内が熱く私は身を捩ると尾で支えられる。 また銀は、ゆっくりと抜くけど。 「あぁ…!? っん!!」 身体が勝手にビクリビクリと痙攣する。 体内の一部が集まっていくように熱くなっていく。 銀楊(ぎんよう)からしたら『愛しているから』こそ。 そして新たな真珠のような『白い光を産み出す光希(みつき)の姿』を見る。 銀楊(ぎんよう)は『子』を受け取り… そのまま光希(みつき)の頬に軽いキスもする。 ただ、思う事すらもだった。 本当に美しい… 「愛しているよ。 『私だけの光希(みつき)』。 もう、ずっと。 『誰からも守り続けてきた』のだから…」 銀の言葉を。 私は最後まで聞き取る事も私は出来ず。 また力尽きるように私は意識を手放していた。
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