80人が本棚に入れています
本棚に追加
産まれてから、ずっと。
再び目が覚めた時。
私の身体は綺麗に拭かれたのか…
身支度もしっかりされて上質そうな生地のワンピースをだった。
着てベッドの上に横になっていた。
側に居た彼が私の目が覚めた事に気付き…
ベッドに近付き腰をかけて優しく話しかけてきた。
「姫…
先程は『いきなり』でしたが…
身体や気分は、どうですか?
貴方が寝ている間に、若干、体力なども。
回復をさせましたが…
まずは先に『お礼』を言わせてください。
ありがとう。
無事に『子』も産まれました。
貴方は紛れもない、我が一族の母になる女性。
そして、『姫』であり、『私の妻』です。」
「え…
ぎ、ん…
えっと…?」
なぜか私はボンヤリと。
何かが変わったような感じがする。
ハッキリと掴めない『感覚の中』で思い出そうとする。
**************************
銀楊は内心、思う。
様子を見て思考する。
これは『刺激をしない』ようにしなければ。
だが、これで、もう…
『一族は無闇に手を出せない』だろう。
私が『長に居る』限り誰もだが。
これで更に『守り抜ける』のも…
だが、まずは『説明』より優先すべき事を。
**************************
銀楊は優しく言った。
「姫。
私の事は今後、『銀』と呼んでください。」
少し笑い、また少し優しくも身体にも触れる。
その様子も変化も見逃さないようにと…
銀楊は思考もする。
私は思い出していく。
「銀…
ねぇ、銀。
あれが…
私の…?」
「そうですよ。
普通の人間、普通の女性では不可能。
『姫』である貴方にしか出来ない事です。」
そう言うと銀は優しく私の頬にキスをした。
「どうしても抑え切れず、いきなり…
『無理』をさせてしまいました。
けれど初夜から『我が子を産んでくれる』とは。
思ってませんでした。
貴方は本当に素晴らしい。」
そうだ、私は…
いきなり、ここに連れられて来て。
何だか、判らないまま…
けれど『身体の変化』が…
夢ではない事を知らせる。
意識もしてなかったけれど…
徐々に自分自身に起こってる事が。
『異常』である事や今ですら何も判らない事に。
それを突きつけられるような『感覚』がして…
勝手に涙が零れる。
銀楊は『違和感』をすぐ察した。
だが、どれが『答え』か、明確でもなかった。
「姫…
どこか、具合が悪いのですか?
痛い場所などが…」
私は少し焦るように聞いてくる銀を見ても…
目を閉じて俯いた。
違うと首だけ横に何度も振るのが精一杯だった。
私は『人間』なのだろうか…
違かったの?
それを『知る』のも。
銀は少しだけ戸惑う様子で私の横に来て…
優しく抱き起こすけど…
ただ何も言わず、優しく背中を擦ってくる。
でも私は銀が…
銀が…
こうする『理由』は、1つしか浮かばなかった。
違う!!
銀は…
私を大切に扱うのは『貴重な子を産む者』だから…
それぐらいしか、思いつかないから…
更に、これから『先が』判らなくて。
良く判らない気持ちが押し寄せてくる。
私は声を出さず、ただ俯いた。
銀は軽いキスをしてきたけど。
「どうしたのですか?
何か…
欲しい物があれば、取り寄せましょう?
この部屋の中であれば…」
「ぎ、ん。
銀は…」
「どうしたのですか、姫。
大丈夫…
大丈夫です。
私に何でも話してください。」
涙だけ、どうしても零れた。
ゆっくりと、銀は私の言葉を待つ様子にも見えた。
でも…
「ぎん…
私、私は何?
『人間』では、なかったの?
銀は…
『私を好きになった訳じゃない』のに。
あんな…」
銀楊は内心、その言葉にも驚くが隠す。
それに『全て』を知っているのもある。
だが、『誤解を解く事』を優先した。
「姫、違いますよ?
確かに、いきなり、してしまったことは…
許して欲しいのですが…
私は…」
私は銀の言葉を最後まで聞く前に叫んだ。
「違う!!
だって銀にとって…
『私はただの子を産むだけの者』でしょう!?
だから!!
そうやって『大切』にするのでしょう!?
私は、そんなの…
嫌だ!!」
すぐ銀から逃げようとベッドから飛び降りるが。
急には足へ力が入らず、転びそうになる。
「っ!?」
!!
咄嗟に私は目を閉じていたけれど。
痛みなどもなく…
でも抱き支えたのは言うまでもなく。
銀だった、だけど…
私は銀を見たくない。
どうにか言う。
「離して、私は…
私は、帰る。」
「姫、少し話を聞いてく…」
銀の声が聞こえたけど。
私は、がむしゃらに振り解く。
私の場所は『ここ』じゃない。
こんな場所は知らない。
銀なんて、『妖狐』なんて、何も知らない。
判らない!!
ただ、部屋から出ようとドアへと向かう。
けれど万華鏡のように視界が歪んだかと思えば…
またベッドの側に戻ってた。
私は、それも悔しくて、そして『無力』である事を。
痛感するようで…
今まであった生活も『全て』なくなったような感覚が苦しくもなる。
何度も振り返ってドアへと向かおうとはするけれど。
でも、何も変わらなかった…
またベッドの側に戻るだけ。
それにも零れる涙を止められない。
こんなのは『嫌』だ!!
何も出来ず、何も判らず。
ただ、ここに居るなんて『嫌』だ!!
ベッドサイドに置かれてある花瓶が目に入る。
それを私は手に取ってから、すぐ床に叩き付けた。
また、すぐ銀が声も聞こえた。
「姫!?
どうか落ち着いて!!」
その『言葉』が余計に嫌だった。
違うっ!!
違うのっ!!
そうじゃない!!
「私は!?
『姫』じゃない!!
『私は違う』、私は!!」
もう完全に判らない!!
もう『全ての否定』を。
私はそんな『姫』なんかじゃない!!
そんなのは知らない。
割れた『花瓶の欠片』が視界に入り手を伸ばした。
この状況が変わるかもしれないと。
そのまま『自分自身』に突き立てようとした瞬間。
無数の尾が、腕も、身体も動けないように伸びて捕まれる。
それに対して…
すぐ銀楊も慌てながら動いていた。
そして『全て』の状況、言動も『思考』する。
「姫、落ち着いて…」
「やだっ!!
離して!!」
私は『姫』なんかじゃないっ!!
銀楊は『全ての状況』を思考し『理解』した。
だから大きく叫んだ。
「落ち着け、光希っ!!」
銀の大きな声で、私はビクリとし、力を失う。
そして抵抗も忘れた。
今、銀は…
私を『姫』ではなく『名前』を、呼んだ?
銀は素早く私の手から花瓶の破片を奪う。
強く握りしめたせいで出来た傷から滲み出る血を見る。
銀楊は表には『感情』を出さないよう…
抑えるが。
そのまま光希を軽々と持ち上げ。
またベッドの方へと連れていく。
そして、ゆっくりと降ろしてから言う。
「なんて、また無茶な事を。
姫、いや…
『光希』。
『誤解』している。
まずは落ち着きなさい。」
私は少し驚く。
今までと明らかに『口調も態度も』変わった?
そのまま有無を言わせないように…
私の傷付けた手を掴んだ。
銀の右手から温かなオレンジ色の光が浮かんだ。
その光で私の手を包み込むようにすると。
アッサリと怪我は治ってしまった。
銀楊は思考し、すぐ『理解』もした。
それから『更に思考』する。
まずは『口調』を、それに合わせ『言葉』を選ぶ。
『落ち着かせる』為に…
「お転婆なのは『昔から変わらない』な…
『光希』は…」
「私の…
『名前』を。」
『姫』ではなく確実に『私の名』を呼んだ。
だから私は銀を見る。
「最初に言った筈。
18年間、貴方を待ったのだと。」
その視線を察した銀楊は…
そこで一度、目を閉じる。
『言葉』と『光希の性格』もだろう。
何が『最善』かを。
それは頭の中で『様々な予測と想定、思考を』巡らす。
『現状の全て』を、思考して出した『答え』を。
僅かな瞬時にも等しい程の速度で、導き出す。
そして目を開けて『言葉を選び』言う。
「私は『光希』が生きてきた。
18年間を。
我らにとっては『短く』ても…
人間には『長い時間』を。
ずっと『側に居ました』からね。」
銀の、また『口調』が和らいだ…
少し笑いながらと…
「光希は、若干、お転婆過ぎて…
『何度』こちらが焦った事か。
数えられないものでしたよ?
どれだけ、すぐ攫って連れて行きたかったか…
けれど、せめて『人として産まれた』以上は。
人の世で過ごす間を作ろうと。
私を含めて『最低限』にしか関わらないように心がけた。
光希は幼かったから忘れてしまってるだろうが。
何度、怪我も治した事か。」
銀楊は、そのまま…
穏やかな口調で子供を諭すように話す。
「知って、いたの?
ずっと…?」
銀が優しく、さり気なくキスをして。
そのまま優しく抱き締めると。
ゆっくりと私に話し出す。
「光希は自分が。
『何なのか判らない』と言ったけれど…
私は知っています。
光希は『本来ならば、妖狐一族の者』です。
ですが、『身体は人間』でもある。
ここから先は、もう少し馴染んでから。
話そうと思っていたが…
それで落ち着くのであれば、話すけれど?」
私は、ただ、頷く。
そう、私は何なのか…
その仕草で銀楊は息を吐いた。
そして語るように目を閉じて話し出す。
「妖狐の一族では、なぜか『女児の妖狐』が、とても『弱く産まれて』居たそうです。
それは『記録』にはあるだけで、私も実際に『女児の妖狐』を見た事がありません。
そして『長命な一族』にも関わらず、『とても弱い為に短命』であったと。
その数も『少なくなるばかり』だったそうです。
そこで、いつしか『人の血を混ぜる事』が生き残れる『最善』となり。
妖狐族は、もう遥か昔に『人と交わり』を持ちました。
けれど、それでも『女児は減って』いき…
結局は『産まれなくなった』と、記録されてます。
ですが、『光希』のように、とても強い。
『先祖返り』のような形でと。
『人と人との間に、刻印を持って産まれてくる』ように、なったそうです。
また、その『女児だけ』が妖狐を産めることから『姫』として。
一族へと戻して、その都度、『妖狐の子を産ませ』一族は難を凌いだそうで…
それからは『姫』を見つけた場合。
すぐ妖狐一族は捕らえ、『繰り返した』と読みました。
その歴史は、とても長い為、『全て』を今は言いませんが。」
そこで一旦止めて、銀楊は目を開けた。
ただ、素直に聞いてる光希を見る。
「だから光希は『先祖返りの妖狐』でもあり。
けれど『身体は人間』でもある。
そして我が一族の『姫』であり…
我が一族、『唯一の希望』でもある。」
「私の…
血に?」
どうにか言う様子の光希にと。
銀楊は少し笑って続けた。
「正確に言えば『光希の父方』が我ら一族の『混血』。
勿論、混血と言っても、かなり薄まり。
『光希』の父は『普通の人間』と何も変わらない。
もう人間の中でも血は既に薄まり過ぎてしまった…
それゆえに『光希のような強い女児』は、もう数百年に1度。
産まれるか、産まれないか、『今の現状』になるんですよ。」
私は、でも銀が、そこで目が…
それは、どこか憂いを帯びる瞳になったのを。
更に私を見つめてくる。
「この『人間の混血』も薄まり過ぎた事で…
妖狐族の『姫が産まれる間隔すらも長く』なった。
更に『純血の妖狐に女児は存在しない』。
私も待ちながらも、もう光希?
『姫と言う存在にも会えない』かもしれないと。
何度も思って居た程。」
銀の憂いた瞳が閉じ、また私にと。
優しいキスを、軽くすると。
そのまま目を閉じたままだった。
「光希が『産まれて』きてくれた時。
どれだけ私が『嬉しかった』事か…
それまで私は、ひたすら『一族の長になる為』に。
今日まで『長い時』を生きてた。」
思い出す銀楊は目を閉じたまま、言う。
「私は、ずっと考え続けながら生き…
そして長を目指す事を決めた部分は、まだ言わずにいますが…」
銀はそこで目を開けた。
私を見て、改めて言うようにだった。
「私は『歴代のような繁殖だけ』の形をしたくはない。
『その為にも長』になった。
だから『今後の策』も勿論、考えてるが…
私は『光希』を。
君だけを愛したい。
君だけを守りたい。」
産まれてきてくれた事を喜ぶと。
私だけを愛すると。
そんな恥ずかしい事をスラスラと口に出す銀に…
何か言いたいけれど、私は恥ずかしくなる。
顔が赤くなるのが判る。
慌てながら隠そうとはするけど既に遅い。
ただ、私は、もう小さく頷くしか…
その場は出来なかった。
それに対し銀は何もかも判っているように…
また少し笑った。
私は、こんな映画の台詞みたいな言葉を受けて。
どうしたら良いか。
ただ恥ずかしくなるのもあるけど…
それに銀の事を。
私も、まだ全然、知らない。
それなのに正しい返答なども出来ない。
ただ、恥ずかしくなるだけで…
小さく俯くしか出来なくなる。
**************************
銀楊は思考する。
光希の性格。
さっきの言動。
どれが『最善』かを。
まずは落ち着かせる。
だが、ゆっくりとしなければ…
光希は『知らないだけ』の事。
それに『光希の場合は特に』だ。
私は、ずっと18年間…
見て知っているからこそでもあるが。
『全ての最善』を。
かなり『慎重にしなければ』ならない…
ならば…
**************************
恥ずかしくなり既に赤い顔を隠そうとしてる。
銀楊からしたら光希の予測も出来る。
そして、やはり思うのだ。
『可愛い』と、つい笑ってしまう。
私は銀の様子も見れない。
でも私は、その時。
一瞬、本当に、お子様的な事が頭に浮かんだ。
「あ、えっと…
少し、聞いて、良いかな?」
銀楊は、すぐ口調は光希に合わせる。
「何でも聞いて構わないよ?
光希。」
「銀って…
今、いくつなの?
見た目、20代ぐらい?
には、見えるんだけど…」
銀楊は内心、その言葉に笑うが。
表には出さない。
「20代と…
それは、また…
驚くよりも、喜んだら良いのかな?」
そこで銀楊は、さっきと、また違う。
本当に笑いそうにもなるが、堪えながらも。
これは『予測が出来るから』こそ、やはり堪えきれず。
少し笑いながら光希へ言う。
「これでも、実年齢なら。
私は約540ぐらいですよ?」
「ごっ………」
私は銀を見てても頭が真っ白になる。
そこで社会科の教科書を思い出した。
けれど、そもそも何時代だ、今は?
頭が真っ白?
瞬時に出てこない私だったけど?
もう、それは…
私の頭の善し悪しではない事にしようと思った。
それなのに銀は少し笑いながら言う。
「やっとだよ?
ようやく光希に出会えた。
そして私の子を産んでくれた。
一族の中には会う事もなく死を迎えてしまう者もいる中。
私は、とても幸運だ。」
僅かな疑問を私も言う。
「…長命なのに?」
でも銀の瞳が、また私は少し陰る気がした…
それでも話しを続けてきた。
「なぜ私が『一族の長』になれたか。
判るかな?」
私は素直に首を横に振った。
「私は尾の数も含め、そして今は『一族の長』。
これは『妖力や実力の証』でもある事。
治療術を含め『全て』を。
一族の中で誰にも負けない為に…
長候補達からも『全てに勝ち』続けたからこそ。
それは光希?
『長』ではないと…
『光希に触れる』事は…
許可されていないからなんですよ。」
銀楊は遠い昔を眺めるように…
光希の髪を撫でながら続けた。
「これが、さっき言わなかった事ですが…
全部ではなくても少しだけ話しましょう。」
銀楊は視線を下に落としてから言う。
「『子を産むだけの存在として姫を扱う時期』が。
確かにあった事。
『私の母』が、そうでしたから…
けれど、それは確実に『姫の精神は壊れて』しまう。
実は私も1度だけ、母を見た。
それこそ本当に子供だった私が。
私の母は…
最後は、もう、ただ…
『人形のように感情も全て失って言葉すら何も反応』しなかった。
それは『多くの子を産ます事』だけを。
『当時の長は重要とし実行していたから』と言う事。
けれど『私の考えは違う』と…
あの『壊れてしまった母』に、誓ったんですよ。
私は『こんな選択』はしないとね?
その後は考えましたよ、いろいろと。
でも、まずは私が『強くなる事』が前提。
一族で『長と言う地位を得る』事を。
それをしなければ何も始まらないと。
ずっと『光希を待ちながら限界』を上げ続けた。
どんな敵も倒してきた。
『地位を守る為』に、あらゆる物事を習得した。
『必ず長になる』と小さい頃から、ずっと。
それでも『私の生涯に現れるか判らない光希』を。
待ち続けた、正直…
『諦めた方が楽だった』かもしれませんが…
けれど私は出会えた。
あの時、どれだけ私が『嬉しかった』か。
すぐにでも攫ってしまいたかったが、18年間を。
それすら、もどかしいような想いを何度させられたか…」
私でも判る、その陰り…
更に銀が濁した意味は…
それを『言葉を選ぶ』ように『銀が』続けていた。
でも、何となくだけど。
本当に明確な言葉は判らない。
私はそれを少し『銀が痛く』思えた。
だから話題を違う方へとズラした。
「もどかしいって…
そんな子供相手に、らしくないよ?」
銀楊は、『それ』が、すぐ判った。
やはり私に、気を使わせたかと。
でも、その事を光希には気付かせない。
ならば話に合わせようと思って言う。
「おや、光希が7歳の時。
学友の男性に渡していた手作りチョコなどは?」
「わあぁ!!
やっ、ちょっと!?
何で知ってるの!!
忘れて、恥ずかしいっ!?」
銀楊にとって光希の思考も簡単に読めた。
そして知っている、どれだけ光希が純粋かも。
なぜ、子供っぽい性格のままかも…
「11歳な時には。
日記帳に憧れの部活の先輩の写真などを。」
「いゃー!?
なんで!?
どっから見てたのよ!!
何で!?」
「14歳の時には。
まさに身体まで成熟し出して…」
「うぁぁ!?
やだ、変態!!
覗いてたの!?」
「いえ、私は遠視も出来るので、一応?
光希の18歳まで、どうにか。
『周りには男性』を近付けたくなくて、つい『邪魔』を。」
うん?
今、何て言った…?
聞き間違えた?
私は頭だけでなく、耳まで?
変になったの?
そこで銀を少しだけ見て、私も、どうにか言う。
「え、じゃ、邪魔?」
でも銀は少し笑って普通に言ってきた。
「えぇ、光希は気付いてなかったようですが。
かなりの数が光希を狙って、近付こうとしてたんですよ?
妖狐の女児は歳を重ねる程に『魅惑』すらも強くなっていくからね。」
「魅惑?
それは関係ないよ…」
私は改めるように銀にキッパリ言い切った。
「そんな邪魔しなくても良かったと断言する!!」
銀楊は、そのキッパリした発言に…
内心、かなり驚いていた。
『嘘は全く』ついてないからだった。
だが、そのまま見てると光希は、そんな事も知らず。
更に大きく言う。
「だって私は『普通』過ぎる!!
いや、平凡過ぎるの!!
この歳まで、今まで『銀』みたいに!?
私を普通に『愛するようなイケメン』はあり得ない!!」
それに続けようとする光希の言葉を。
銀楊は読んだ。
「私は今までモテた事すらない!」
「私はモテた事がない。」
ん?
今、ハモった?
銀楊は、また少し笑う。
そう、『同じ意味』を言葉にした事でだった。
光希の顔が面白かったのだ。
「ちょっ、えっ?」
そこで銀楊は『確信』もする。
ゆっくりと手を光希へと、頭を撫でる。
どうしても、やはり少し笑いながら言う。
「違うんだよ、光希?
気付いてないだけなのは、本当だ。
実際に光希は可愛い、更に歳かな。
重ねる程に綺麗なんだよ。
それに全然、気付いてないだけだ。」
少し思い出しながらも、これなら判る筈だと。
銀楊は『言葉を選び』、光希へ問うように話す。
「でも思い出してごらん?
光希が少し『好意を寄せた異性』は…
『全員、他の要因が』あって『簡単に諦めてきた』だろう?」
「えっ?」
「確かにね、多少。
光希は『異性には好意』を寄せたよ。
だが、私が『邪魔をした』だけ…
でも光希?
光希は、すぐだ。
その『異性への好意』は簡単に『消える』だろう?
それは光希が異性を。
今まで、まだ『好きにはなってない』んだよ。」
「んっ?」
どうにか考える様子の光希に銀楊は続けた。
少し嬉しいのも本当だったが。
「光希には、まだ『初恋』すら…
ここに私が連れて来た時ですら『してなかった』よ?
光希には、今の意味が、判るか?」
「…え?
いや、でも。
えっ?」
必死に私も考えるけど。
でも…
それにと嬉しそうに銀が言った。
「考えても『答えもない』だろう?
それは光希が『恋』すらしてないからだよ?
確かに光希を『明らかに狙ってる者は排除した』が…
光希自身が気付いていないんだ。
時折、確かに寂しそうな目もした。
だが、その『異性に対して、1度も泣いて』すら居ない。
すぐ縁がなかったようにだ。
簡単に『少ない好意』を寄せた者さえ『普通』に忘れる。
『好意』はあれど『恋などはしていない』よ。
皆が綺麗に思いながらも、近付けないだけの事。
それにも気付いていないから…
普通に自分はモテない、平凡と言う。」
「え?
でも、でも…
じゃあ、私の周りに誰も男子が来ないのは…
もしかして…」
それに銀が清々しい程の笑顔で言い切った。
「えぇ、私が『全て駆除して』おきました。」
私はプチッと何かが切れるような音まで聞こえた気もした。
「酷いっ!!
私だってね?
年頃なの!?
いろんな友達の彼氏とか?
好きな人の話しとか?
聞いてるのが羨ましかったし!?
でも私には無理だって…
諦めたりもしたのに、それって!!
ずっと…」
そこで銀楊は、すぐ動いた。
光希にと顔を近付けながら言い切った。
「では、私に『恋』をしてくれませんか?」
私の言葉を言い終わるよりも…
先に割り込むように銀は普通にとだった。
それは…
私は恥ずかしい上に、おかしい!?
「…恋より先に!?
銀なんか、私を昨日…
散々…
それなのに良く、そんな事を!!」
また、すぐに銀が遮り言う。
「おや、確かに。
それは失礼しました。
では、これから改めて…」
急に私を引き寄せて顎に手をかけ、キスを。
さっきまでの、優しいキスとは違う?
深いキスを。
私は唇が奪われる。
舌が、どんなに逃げても口内を蹂躙するように動く。
「んんっ…
あっ…
ちょっ、んっ。
んんっ!?」
銀は巧みに舌を動かてくる。
舌を絡めたかと思うと唇を吸い、更に首筋も舐める。
そんな行為に身体がビクリと。
反応してしまうのも私は恥ずかしい。
「あ、んんっ。
や、あぁ、先に恋をって。
これは、ちが…
ぁあっ!?」
何本かの尾が私に絡み付き、身体を刺激し始める。
嬉しそうな顔で銀が言った。
「光希、これだけは信じて欲しい。
光希は誰よりも可愛くて…
そして、とても美しい。
私以上に『光希を愛している者は居ない』よ。」
僅かに着ていたワンピースを脱がしながら…
既に露出している部分へと手が触れてくる。
「あぁん、ふぁっ。
それとは、また…
やぁ、んぁん…
あっんんっ!?」
私の下腹部へと、銀が、ゆっくり手を伸ばした。
尾が動きすら抑えて敏感になっている部分へ。
擦るのと同時に乳首を舌先で転がしてくる。
それにと勝手に身体が『反応』した。
「あぁぁ、待って…
あっ、んん。
ふぁ…
んあぁっ。」
その反応に嬉しそうな顔をしながら銀は言う。
「光希。
私達『妖狐』は異性に『思いを伝える時』は…
相手に『触れる』事を。
相手を『どれだけ愛しているか、それを表現する』事を。
私は『光希を愛している』。
だから誰よりも『光希を感じさせてあげたい』と。
常に『思う』のだよ。」
そんな銀の言葉と一緒に動く手が。
他の様々な動作に翻弄される中で…
更に、また銀の指が敏感な部分の側まで近付く。
でも私は、すぐキスで唇を塞がれる。
その隙に銀の指が私の中へ…
ゆっくりと入ってくる。
「んんっ!?
んぁん…
あっ。
ふぁ…っ。
んんっ!?」
私の中を念入りに指で確かめるよう動かされる。
グチュリと執拗に弄られると…
銀は私の唇を解放して言う。
「あぁ、良かった、傷もない。
『前回より』も柔らかい。
『私を受け入れていたのが判る』のが嬉しいよ。
私は『光希を』愛している。
だからこそ…
私は『光希へ最上の快楽をあげたくなる』んだ。」
指が増え、何度も出し入れされる。
掻き回すようにグルッと指先を動かされる。
「あぁあぁ!!
だめ、やぁあっ…
ふぁあ…」
「気持ち良いだろう?
ほら、こんなにも濡れている。
今日は、このぐらいが。
きっと『1番、気持ち良く』なれる。」
銀は前回より少し大きい肉棒を私は見た。
そのまま指を一気に引き抜かれた。
それにと身体だけが反応する。
「ひぁ、んぁん。
あぁ…
うぁん!?」
指より先に複数の尾が…
私の身体を弄りながら刺激を続ける。
他の尾も乳房を揉むように動かされる。
もう身体中を刺激してくる。
尾が私の脚に絡み付き、ゆっくりと…
また私の中に銀は自らの肉棒を入れてくる。
「あぁん!!
ひっ、あ…
や、あぁ!?
あぁぁ!!」
「どうですか?
光希?
『今の光希の中に合わせている』から…
気持ち良いでしょう?」
グチュリと水音を聞こえた。
深い挿入を繰り返される。
それだけでなく尾が身体を時折、刺激もする。
私は、もう、何か…
「あぁあん!!
ぁあぁ、んぁっ。
ふあぁ…
んあぁん!?」
「これでも『まだ抑えてます』よ?
光希の中は、まだ『早い』から…
でも、もう…
こんなに濡れて締め付けてくる。
良いんだよ。
そのまま『身を委ねて』ごらん。」
更に肉棒の出し入れの激しさが増していく。
「はぁん!?
あぁあぁあ!!
ぎん、ぎんの、あっ!!
ふあぁ、あぁ…
なに?
これは…
っぁあぁ!!」
「あぁ、私も光希の。
そんな顔を見ていたら…
我慢が出来なくなりそうだ。」
「あぁぁ!!
だめ、もう、だめぇっ!!
あぁん!?」
光希の喘ぎと共に締め付ける中にと…
銀楊は一気に出して流し込んだ。
「ふぁ!?
あぁ、あつい…
あついのがぁ、中にぃ!?」
ドプリドプリと、その量が多く感じられる。
そして体内が熱く私は身を捩ると尾で支えられる。
また銀は、ゆっくりと抜くけど。
「あぁ…!?
っん!!」
身体が勝手にビクリビクリと痙攣する。
体内の一部が集まっていくように熱くなっていく。
銀楊からしたら『愛しているから』こそ。
そして新たな真珠のような『白い光を産み出す光希の姿』を見る。
銀楊は『子』を受け取り…
そのまま光希の頬に軽いキスもする。
ただ、思う事すらもだった。
本当に美しい…
「愛しているよ。
『私だけの光希』。
もう、ずっと。
『誰からも守り続けてきた』のだから…」
銀の言葉を。
私は最後まで聞き取る事も私は出来ず。
また力尽きるように私は意識を手放していた。
最初のコメントを投稿しよう!